日本のGDPがついにドイツに抜かれ、4位に転落しました。1年前から予測されていたとはいえ「残念」としか言いようがありません。
1968年、日本は当時の西ドイツを抜いて世界2位の経済大国に上り詰めました。世界各地にメイド・イン・ジャパンがあふれ、世界の都市に日本企業の看板がつらなっていました。昭和世代の記憶の底には、その風景が刻み込まれています。
むろん「GDPの高さ=国民の豊かさ」でもなければ、幸福感の高さでもありません。そもそもGDPが考案されたのは、100年近く前の1930年代です。世界は当時、1929年から始まった世界大恐慌から、第二次世界大戦に向かっていました。
大恐慌の間に失われた経済の規模や、戦争を遂行するために必要な軍事調達がどの程度できるかを把握する目的でつくられたのがGross Domestic Product=GDPです。「GDPという指標は、今の時代に即しているのか?」との疑問はあります。
一方で、GDPとは「一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額」です。付加価値が生まれるのは「現場」ですから、GDPが低下しているということは、現場が弱体化しているというリアルを意味しています。
労働生産性の推移をOECDのデータで見ると、80年代の平均伸び率は3.4%でした。しかし、90年代になると2.2%と、1.2%ポイント低下しました(参考:労働生産性の推移と変動要因)。
最新のデータでは「日本の時間あたりの労働生産性」はOECD加盟国38カ国中27位、「一人当たりの労働生産性」は29位です。以下のグラフを見ると「本当に先進国なのか?」といった状況です。
しかも、米ギャラップ社が昨年6月に発表した「State of the Global Workplace: 2023 Report」によると、日本は「従業員エンゲージメント」がたったの5%で、世界平均を大幅に下回っていました。
世界平均は23%と前回より2ポイント上昇し、特にインドを含む南アジアは33%と前回より7%ポイントも増加するなど、同社がグローバル・エンゲージメントの測定を開始した2009年以来、最高を記録。それなのに、日本は4年連続横ばいが続いている。従業員の20人に1人しか、仕事への熱意(エンゲージメント)を持っていないのです。
いったいなぜ、こんなにも日本の生産性は低いのか?
いったいなぜ、こんなにも日本人の仕事への熱意が低いのか?
「そりゃ、がんばって働いても、ちっとも賃金上がらないし」「そうそう。株価がバブル超えた〜だのなんだの言うけど、景気がいいとか全く感じないし」――はい、おっしゃる通りです。
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