ここまでAIの活用状況、営業手法や顧客ニーズの変化という観点から、現在日本で多くの企業で行われている「外回り・ルート営業」の今後について考察してきました。
既にセールステック各社から営業の生産性向上を支援するための自動化機能が提供され、AIを取り入れた技術開発が進んでいることや、企業・顧客双方にとってデジタルを取り入れたハイブリッド型の営業活動に対するニーズが高まっている傾向から、今後顧客のもとに足を運ぶ営業手法の価値が下がっていくのは確かだと予測できます。
とはいえ、大口アカウントの大手小売店などに対する外回りは、現場検証の必要性があり、担当者との信頼関係構築が売り場を確保する上で重要となるため、残っていくことが予想されます。ですが、それ以外の受発注の仕組みは、オンラインで購買・決済が完了するなどEC化し、顧客の積極的な開拓や詳細な説明についてはインサイドセールスの仕組みを整えてハイブリッドな顧客支援体制を整える動きが進んでいく可能性は十分にあります。
今後、顧客側のセルフサーブが進めば、ECでの購買活動が浸透しているB2C同様に、B2BにおいてもEC化が進むでしょう。
近未来ではAIセールスマンが誕生することに加え、「顧客側の購買」もAIが判断し、販売側も購買側も双方がデジタルヒューマン同士で商談を進めるようになることもあるかもしれません。
次回は、現在議論されている営業領域におけるテクノロジー活用をさらに深掘り、どこまで機械による営業活動の代替が可能なのか、営業組織の役割がどのように変化する可能性があるかを考察していきます。
中央大学法学部卒業後、2社を経てGoogle Japan、freeeで営業部門の統括及び責任者として事業成長を牽引。2017年にMagic Momentを立ち上げ、2018年9月より経営を本格化。累計資金調達額20億円(DCMベンチャーズ、DNX Ventures、三井物産、ほか)。LINEやUSEN、凸版印刷等、多くのエンタープライズ企業の営業変革を人・テクノロジー・オペレーションの全方向から支援。2021年にローンチした営業AI行動システム Magic Moment Playbook は、現在はエンタープライズ企業の生産性向上、LTV向上を非連続に実現している。
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