化粧品業界は特に、広告やタイアップに大きな資金を投じるケースが多い。なぜ“光る原石”を見つけたときも、広告費をかけないという選択をしたのか。小林社長は2つの理由を挙げる。
1つ目は、せっかくオーガニックの口コミで広がっているのに、広告で見たら顧客が冷めてしまうと考えたこと。2つ目に、ユニットエコノミクス(1顧客あたりの採算性)が合わないため広告を打てないという判断をしたことがある。
ユニットエコノミクスは、CPA(Cost per AcquisitionまたはCost Per Action:顧客獲得単価)を回収するために必要なLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)はどのくらいかを指す指標だ(※)。
※諸説あるが、本記事ではオルビス内の基準に合わせてCPAで説明する。
例えば、化粧品業界のCPAは1万円程度とされている。仮に1万円かけて新規顧客を獲得し、1000円のトライアルキットを購入してもらったとする。その顧客がリピートしても、顧客単価が2000円程度であれば、4〜5回の購入がなければ回収できない。
「LTVを上げるには、リピート率アップか、クロスセルで違う商品を購入してもらう必要がありますが、ヘアケアからスキンケア用品へのクロスセルはかなり難しいんです。ヘアミルクは1320円と価格も比較的安いため、広告を回しても採算が合わないと考えました」
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