ハイブリッドが当面の“現実解”である理由 勝者はトヨタだけではない高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

» 2024年03月12日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

日野は大型トラックにパラレルハイブリッド採用

 一方、エンジンをモーターがアシストする方式のパラレルハイブリッドでは、メインの駆動力はエンジンとなり、負荷の高い領域をモーターによって軽減する。しかしエンジンも、発進時や加速時には回転数を高め、出力を上げる必要がある。

 エンジンは一定回転で、モーターが加速時の負荷を全て受け持つ仕組みも不可能ではないが、それならエンジンは発電に専念して、モーターだけで走行した方が効率は高まる。問題は、これまで車格に応じて利用してきたエンジン資産という縛り、固定概念だろう。

 日野自動車は19年に大型トラックの「プロフィア」にハイブリッド車を設定した。これは既存のエンジンにモーターを追加することで、加速時にはモーターの駆動力でアシストし、減速時には回生ブレーキでバッテリーを充電して発進時や加速時に備える、パラレル方式のハイブリッドだ。

 高速の平坦路巡行時には効率のいいエンジンで走行するのだが、負荷が大きい時にはモーターを併用することでエンジンの負担を軽減して燃費を向上させる。

日野プロフィア ハイブリッドは、従来のエンジンと変速機の間にモーターを搭載したパラレルハイブリッド。モーターは加速時のアシストだけでなく、冷凍機の駆動にも使われるなど回生エネルギーを効率よく利用する

 しかしこれはトラックの進化においては過渡的な仕様と言える。エンジンは発電に専念すればここまで大きな排気量は必要ない。定速回転で運転、発電してモーターを駆動し、発進時や登坂時、加速時はバッテリーに蓄えた電力も利用してモーターに電力を送ればいいのだ。それなら発電能力は動力性能ほど必要ではないから、発電機もエンジンもずっと小型で済む。

 現時点では、プロフィア ハイブリッドは通常のエンジン車と同じエンジンを搭載し、モーターの出力は控えめとなっている。これは車両価格の上昇を抑え、燃費性能の高さで価格差を回収するための措置だろう。実燃費が1割向上すれば、長距離便で使用するなら数年で価格差は回収できる。

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