このあたりをご理解いただくには、そもそもGWというものが、日本人に同じ消費行動をさせることを目的とした「国策」だということを知っていただく必要がある。
戦後復興真っ只中の1948年、「国民の祝日に関する法律」が公布・施行された。この法律によって「国民の祝日は、休日とする」と定められ、4月29日から5月5日までの「大型連休」ができた。
では、なぜこんなものをつくったのかというと、法律にもちゃんとあるように「よりよき社会、より豊かな生活を築き上げるため」である。だから当然、「豊かな生活」を求める消費者をターゲットとした企業の経済活動が盛んになる。
その最も分かりやすいケースが、映画産業だ。戦前は正月に映画館の入場者数が多かったが、春の連休ができたことでこちらもドカンと入場者数が増えた。そこで1951年ごろ、ウハウハだった映画関係者が春の連休を「黄金週間」と名付けたことで、GWと呼ばれるようになった――という説もあるほどだ。
そして、この「連休経済効果」によって急成長を果たしたのが「観光業」である。
終戦から1950年くらいまで多くの日本人は貧しく、「観光客」と言えば進駐軍の家族、つまりは米国人と相場が決まっていた。しかし、朝鮮戦争特需や高度経済成長期で徐々に日本人の生活も豊かになっていったことで、政府が「外国人観光客で外貨獲得」という方針からかじを切って「日本人観光客が全国を観光する」という戦略を進めていく。そこで大きな役割を果たしたのが、「GW」なのだ。
4月下旬から5月初旬というのは過ごしやすくちょうど梅雨入り前で、旅行やレジャーに最適だ。そこで1950年代以降、政府は国民に対して、この大型連休を利用して旅行や観光地へ出かけるように促していく。それがよく分かるのが国による「観光インフラの整備」だ。
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