観光業で働く人のためにも「GWは廃止すべき」 こう提言しても、何も変わらなかった理由スピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2024年05月01日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「昭和のビジネスモデル」から脱却するには

 ここまで言えば、筆者が「GW廃止」にこだわっている理由が分かってもらえたのではないか。

 オーバーツーリズムや観光公害、そして観光業で働く人々の非正規・低賃金というさまざまな問題の根源をたどっていくと、「みんなと同じタイミングで休みをとって、みんなと同じように旅行しなくてはいけない」という日本人の強迫観念のような思想がある。

「昭和の働き方」を変えられるか(画像はイメージ、出典:ゲッティイメージズ)

 これをぶっ壊すためには、この思想を日本人に植え付けた制度からぶっ壊すしかない。そう、それが1948〜76年にわたって日本人観光客の消費行動に影響を与えてきたGWというワケだ。

 つまり、GWを廃止して、全ての国民は自分の働いている環境に合わせて、好きな時に自分の判断で「大型連休」を取るという新しい常識を広めていくしかないのだ。しかも、もっと言ってしまえば、これは観光業で働く人だけではなく、全ての日本人にも悪い話ではない。

GW、国内人気旅行先ランキング(出典:近畿日本ツーリスト)
国内人気旅行先ランキングで東京都が1位(出典:近畿日本ツーリスト)

 よく言われることだが、日本は「休日」が非常に多い。「日本人は働きすぎ」と思っている人も多いが、実は「仕事をしない日」は他の先進国とそれほど変わらない。しかし、休日が多いからといって、休めているわけではない。

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