さて、晴れて合格したメンバーは、どのような活動をしているのか。商品開発である。新だし開発プロジェクトを立ち上げて、「食べてみたいなあ。他の店で食べておいしかったなあ」と感じた「だし」を募集したところ、82の案が集まった。コミュニティー内で投票したところ、「博多豚骨だし」は2位だった。
「あれ、1位じゃないの?」と思われたかもしれないが、1位は「焦がしニンニク醤油だれ」。この結果を受けて、しゃぶ葉の本社で開発を進め、部員は試食会に参加。「ああでもない」「こうでもない」と改良を重ねて、両方の商品が誕生したのだ。
ちなみに、焦がしニンニク醤油だれの特徴は、にんにくを細かく砕き、油でじっくり揚げていること。九州ラーメン「黒マー油」から発想したオリジナルのつけだれで、“味変用”に使っている人が多いようだ。
話を冒頭の数字に戻そう。しゃぶ葉では5種類(期間によって違う)から鍋だしを選べるわけだが、博多豚骨だしは9月に提供した。同店は定期的にフェアを実施していて、期間内に「博多豚骨だし」を選んだ人は過去のフェアと比べて5.3倍だったのだ。
この数字を聞いて気になったのは、これまでだしを開発してきた担当者のハートである。プロとして、考えに考え抜いて「このだしは絶対に人気が出る。たくさんの人が選んでくれるはずだ」と信じて商品化しているはずなのに、素人のアイデアから生まれたモノに大きく水をあけられたのだ。
このことを岡田さんに尋ねたところ、ハッキリと「完敗ですね」と語った。敗因として、商品開発の担当者はとんがったモノを開発する傾向がある。「いまこの味がトレンドだから」「この味を出せばメディアが取り上げてくれるかも」といった切り口で企画が進むことが多いそうだ。しかし、部のメンバーは違う。「自分はこのだしを食べたい」という視点に立って、新たな商品が生まれた。
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