双日テックイノベーション(旧 日商エレクトロニクス)に入社後、営業部長、マーケティング部長を経て、シリコンバレー拠点の駐在社長として、リテール、フィンテック、Web3をテーマに新規事業開発、オープンイノベーション支援、米国スタートアップ投資を手掛ける。2022年帰任後、エンタープライズ営業・マーケティング組織の統括責任者としてクラウド・データ利活用領域の事業成長を牽引。アカウント営業のセールスイネーブルメントに取り組んでいる。
2023年、GRIT&ME合同会社を創業。セールスイネーブルメント、新規事業開発、デザイン思考ワークショップなどコンサルティング、人材育成研修を提供。
iU情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。 Stanford Graduate of Business, Design Thinking,
University of California Berkely,Venture Capital Executive Program
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前回の記事では、日本で正義とされているソリューション営業が終焉する理由と、米国で注目を集める「インサイト営業(Insight Selling)」について紹介しました。
今回の記事では、これからの時代に勝ち抜くために必要なインサイト営業を実践するための具体的な方法について紹介します。
<前編:「ソリューション営業」はもう古い! これからの時代に求められる「インサイト営業」の有効性>
インサイト営業を実践するには、まず以下の5つのステップに沿って行動してみましょう。
市場のトレンドやデータを用いた情報を提供し、顧客が自社の課題を新しい視点で分析できるようサポートすることが重要です。
そのためには、3C(自社、顧客、競合)分析にとどまらず、顧客の顧客(Customer’s Customer)と、顧客の競合(Customer’s Competitor)を含めた5Cを分析をする必要があります。
Webサイトやソーシャルメディアからの情報のみならず、社内の過去の購買履歴やWebサイトでの問い合わせなど、SFAやマーケティングツールからの情報も含めて情報を集めます。前任営業からの情報も有益な情報となるでしょうし、ビジネス領域に特化したマッチングサービス「ビザスク」などから同業界の専門家などにリーチして、業界構造や慣習、ポジショニングなどを調査することも効果的でしょう。小売店であれば店舗に行ってみたり、製造業であれば工場見学をさせてもらったりと、実際に体験することで得られる情報もあります。顧客よりも顧客のことを理解するという姿勢で、あらゆる情報収集に努めていきます。
STEP1で集めた情報を整理して、問題や課題の仮説を独自な視点で策定します。あくまでも顧客が既に認識している問題や課題ではなく、顧客の成長機会や競争力向上につながる具体的なアイデアや独自の視点である必要があります。
その際のポイントは、5C分析した現状より先の将来に目を向けることです。3年後にどのようなことが起きそうか、将来予測をします。
将来予測には、先進的な企業の事例を調査することが有効です。例えば、リテール企業であれば、米国WalmartのDX戦略や組織設計、新サービス情報など。金融機関であれば、Bank of Americaはどのような非対面のオムニチャネル戦略で、ChatGPTをどう活用しているのかなどを調査します。事例からその企業の課題や解決方法、導入効果だけでなく、その企業の経営者が、何を考え、どのような悩みがあり、どのような流れで意思決定したのかなどの背景や経緯を抜き出します。
そのうえで、ターゲット顧客にとって、将来的にどのような問題が起こり得るのか、そのためにどのような課題を解決しなければならないのかという視点で仮説を立てていきます。単純に先進企業の戦略や施策のコピーではなく、その顧客にとっての固有の課題を考え抜く姿勢が重要になります。
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