あの企業の20代エース社員にも「新卒1年目」の頃があった。挑戦、挫折、努力、苦悩――さまざまな経験を乗り越えて、今の姿がある。企業に新たな風を吹き込み、ビジネスの未来を切り開く20代エース社員の「仕事」に迫る。
将来有望な新入社員に、高額な初任給を――。人手不足が進む中、高額な初任給で優秀な人材を確保しようとする動きが波及している。
「新卒年収710万プログラム」が話題となったGMOインターネットグループもそのうちの一社だ。より自由で新しい事業やサービスを生み出していくため、高度な技術や知識、能力を持つ人材を募集。このプログラムで採用試験を突破し入社したメンバーには、2年間年収710万円を保証している。
現在、同社でデータサイエンティストとして活躍する杜博見さんは、2023年にこのプログラムの1期生として入社した一人だ。入社2年目にして、AIのスペシャリストとして社内外で活躍している杜さん。最先端の領域で活躍する若きエンジニアはなぜAIに惹かれたのか。そしてどのような未来を見据えているのか。
杜さんは現在、グループ研究開発本部でAIに関する研究を行っている。1年目は主に、大規模言語モデル(LLM)のローカル実装として、社内データとのつなぎこみを進めた。2年目の現在は主に、社内の金融投資プロジェクトに参加して、AIを用いた利益創出支援に携わっている。
杜さんはGMOインターネットの「デベロッパーエキスパート」としてカンファレンスでも登壇するなど、研究のみにとどまらない活躍をしている。デベロッパーエキスパートとは、同社が特定の専門領域で第一人者として業界の発展に寄与する従業員に与える肩書きで、現在該当するのは同社に約3700人いるエンジニア、クリエイターのうち10人のみ。「新卒年収710万プログラム」で入社した杜さんが、大きな期待を寄せられていることがよく分かる。
そんな彼がAIに興味を持ったのは、大学生の頃だと言う。
「学部生の頃に、Googleが発表したコンピュータ囲碁プログラム『AlphaGo』を知って『機械学習はここまでに進化しているんだ』と感動しました。AIの研究をしたいと思ったのは、そこからですね。機械学習を用いたデータ分析による課題解決の研究を、博士課程も含めて約5年間行っていました」
AIの魅力に取りつかれ、杜さんは日に日に研究にのめり込んでいった。AI技術の進歩はとても早く、第一線で活躍する研究者でも、あらゆる情報を網羅するのは至難の業(わざ)と言える。しかし彼は、この難しさこそが楽しいのだと言う。
「AIは、これまで人の力では不可能だったものを、可能にするもの。だから、難しくて面白いんです」
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