前述のように、米国の成長企業を支えるRevOpsは、日本では一般的にはまだ知られていません。
“分業型の営業組織が直面する弊害を乗り越えるためのRevOps”という性質を考えると、日本の営業組織では、大手の企業に担当が張り付くアカウント営業や、個店を足で回るルート営業が中心であり、分業型の営業組織がまだ一般的ではないことが要因だと思われます。加えて、CRM自体の利用は進みつつも、活用についてはばらつきが大きく、そもそものデータ取得の段階で、お困りの企業が多いのかもしれません。
しかし昨今は、DXやAIの活用によるデータの重要性が増し、コロナ禍を経てオンライン営業が一般化することで、分業を思考する企業も増えてきました。RevOpsという言葉は知らずとも、統合的なデータ環境とオペレーションの構築が経営のトッププライオリティになってきている点は、皆さんも同意いただけるのではないでしょうか?
実は、日本国内の急成長企業でも、RevOpsの取り組みは広がりつつあります。特に2010年代に急成長したSaaS企業は、いち早くTHE MODEL型の営業組織を取り入れ、必然的にRevOpsに取り組んでいます。筆者はGoogleで実践してきたRevOpsの内容を、転職先のfreeeでも生かすことで、同社の成長に貢献しました。
その後、日本でもSales Engagement Platformなど、データを統合するソリューションが登場し、より手軽にRevOpsができる土壌が進んできました。
THE MODEL型の活用が進むにつれて、SaaS以外の企業でもRevOpsの利用が進んでいる事例もあります。
当社がサポートした例でいうと、LINEがSMB向け直販事業を立ち上げた際に、CRMとSEPを基軸にRevOpsを活用。分業のメリットを享受しつつ、デメリットを最小化すべく下記のような取り組みを行い、急成長を遂げました。
上記のように、RevOpsは営業組織の統合・効率化にとって、重要な役割となります。これに加えて、AIや機械学習をオペレーションに組み込んでいく場合、企業の運営コストを劇的に削減し、従業員の生産性を向上させる可能性もあります。完全に自動化されるオペレーションも出てくることでしょう。
この効率化は、企業がより戦略的な活動にリソースを集中させることを可能にし、競争優位性を高める結果につながっていきます。一方で、こうした取り組みが部分最適で進んでしまった場合には、データの力を発揮できず、不完全なオペレーションになってしまいます。さらに、こうしたすり合わせを人間が行うことになり、より非効率な状態になる可能性も否定できません。
米国の成長企業では一般的で、日本でも活用が広がりつつあるRevOps。次回は日本企業で実行するためのハードルと解決策を解説します。
中央大学法学部卒業後、2社を経てGoogle Japan、freeeで営業部門の統括及び責任者として事業成長を牽引。2017年にMagic Momentを立ち上げ、2018年9月より経営を本格化。累計資金調達額20億円(DCMベンチャーズ、DNX Ventures、三井物産、ほか)。LINEやUSEN、TOPPAN等、多くのエンタープライズ企業の営業変革を人・テクノロジー・オペレーションの全方向から支援。2021年にローンチした営業AI行動システム Magic Moment Playbook は、現在はエンタープライズ企業の生産性向上、LTV向上を非連続に実現している。
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