流浪のクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」が静岡、浜松へ JR東海に観光列車の幕が上がる：杉山淳一の「週刊鉄道経済」（1/8 ページ）

[杉山淳一，ITmedia]

　東急の観光列車「THE ROYAL EXPRESS」がJR東海の線路に乗り入れる。ツアー名は「THE ROYAL EXPRESS 〜SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN〜」（以下、SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN）だ。

　2024年5月30日に静岡駅前のホテルで記者発表会が開催され、JR東海の丹羽俊介社長と東急の堀江正博社長が登壇した。JR東海にとって観光列車ビジネスの始まり。東急にとっては新たな走路の獲得だ。特に東急には「熱海から西へ走らせたい」という強い希望があったという。

2024年5月30日に行われたSHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAINの記者発表会には、両社のトップクラスが登壇した。JR東海 代表取締役社長 丹羽俊介氏（左）、東急 取締役社長 堀江正博氏（右）。両社にとって大きな意味を持つプロジェクトだ（筆者撮影）

　2024年11月から12月にかけて、毎週金曜日に横浜駅を出発し、三島、沼津、浜名湖、静岡、日本平を巡って横浜駅に戻る。東海道本線を行ったり来たりしながら、富士山の景色を楽しみ、東海道の歴史と景勝地を訪ねる。東急にとって、伊豆、北海道、四国に続く4番目のクルーズ。JR東海にとって初のクルーズトレイン運行となる。

歴史ある東海道本線を往復する（出典：東急、SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN）

　旅行代金は、宿泊施設を2名1室で利用する場合で75万円から。1名1室で利用する場合は105万円から。使い古された言葉だけど「豪華列車の旅」である。申し込み受付が始まっており、希望者多数の場合は抽選となっている。

　これで、JR旅客会社の6社すべてがクルーズトレインを経験することになった。いままでクルーズトレインを運行しなかったJR東海にとって大きな経験になる。また東急は、クルーズトレイン運行会社として新たなルートを開拓した。乗客は、日本の観光の大きなコンテンツ「富士山」の眺望を列車や宿で楽しめる。三方良しである。いや、運行ルートの静岡県も観光の魅力を発信できる。四方良しだ。

「THE ROYAL EXPRESS」伊豆急線内の姿で静岡、浜松へ（写真提供：東急）