北海道あり、四国ありと、「THE ROYAL EXPRESS」はもはや伊豆の列車ではなく、東急が各地で展開する「クルーズトレイン・ビジネス」になっている。JR東海が観光列車を走らせると聞いたときは意外だったけれど、「東急と共同で」となれば納得だ。
時系列をさかのぼって、2024年2月10日に「THE ROYAL EXPRESS」の公式サイトで「2024年 THE ROYAL EXPRESSの旅」が発表された。その中で11〜12月の「THE ROYAL EXPRESS 伊豆・静岡の旅」が告知され、「詳細が決まり次第お知らせいたします」となっていた。
1〜3月に「 四国・瀬戸内クルーズトレイン」、4〜6月は「THE ROYAL EXPRESS」が定期検査のため「日本の観光列車をつなぐ美しさ、煌めく 旅。」としてブランドだけ冠したコースがあり、8〜9月に「THE ROYAL EXPRESS 北海道クルーズトレイン」がある。
筆者は、「THE ROYAL EXPRESS 伊豆・静岡の旅」が伊豆急行線を含んだコースだと思っていた。しかし実際はJR東海区間を走る旅だった。あらためて「静岡」という文字が入る意味が分かった。今年2月の段階で東急とJR東海の計画は進んでいたわけだ。
そして2024年は、伊豆急行線を営業運行する「THE ROYAL EXPRESS」はない。伊豆急行は車両基地として「THE ROYAL EXPRESS」を送り出し、迎えるだけだ。
伊豆急沿線の観光業界は、これを寂しいと思わないだろうか。そこがちょっと気になるけれど、東急によると、もともと伊豆急行沿線の観光シーズンは、JR東日本の特急「踊り子」が増発されるほか、関東各地からの臨時列車も入ってくるため、「THE ROYAL EXPRESS」を走らせる隙間がなかったという。まるで阪神甲子園球場のグラウンドを高校野球大会に譲る阪神タイガースのように、「THE ROYAL EXPRESS」は遠征するしかなかった。北海道クルーズの背景にはそんな事情もあった。そして東急にとっては、これが観光列車遠征ビジネスのヒントになった。
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相鉄・東急「新横浜線」開通で影響する16路線を読み解くCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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