「THE ROYAL EXPRESS」は、東急が2017年から横浜発、伊豆下田行きとして運行しているクルーズトレインだ。ここでいう東急は東急電鉄の親会社で、東急グループをとりまとめる会社だ。
「THE ROYAL EXPRESS」は東急グループの伊豆急行が製造した2100系電車「リゾート21」を改造して作られた。改造も東急グループの東急テクノシステム長津田工場で行われた。ツアーの企画、催行は東急が実施する。申し込みは公式サイトで受け付けており、東急と伊豆急行が共同で運営している。東急グループの総合力を結集したクルーズトレインだ。
東急グループは鉄道、不動産、生活流通のほか、旅行業、リゾート開発も手がけてきた。特に伊豆は伊豆急行という鉄道会社も設立して、リゾート開発を進めてきた。しかし東急電鉄の路線とはつながっていない。ならば列車で結んでしまおう。それが横浜発伊豆急下田行きの「THE ROYAL EXPRESS」である。
東京と横浜と伊豆を結ぶ列車は、JR東日本が特急「踊り子」をたくさん走らせている。「スーパービュー踊り子」(2020年廃止)というハイグレード列車もある。しかし、東急電鉄(当時)自身が運行することに意義がある。
「踊り子」と差別化するためにも、東急のシンボルとなるハイグレード列車が必要だ。座席の販売だけではなく、食事やリゾートと組み合わせたクルーズトレイン方式としたい。しかし、横浜〜伊豆急下田間は距離が短く車内宿泊はふさわしくない。そこで車内はテーブル付き座席が主体となった。
車両のデザインは、JR九州で「ななつ星in九州」「或る列車」などを手がけた水戸岡鋭治氏が担当した。木材などの天然素材を難燃(なんねん)処理(燃えにくい材料へと加工処理を行うこと)してふんだんに使い、リゾートホテルのロビーやラウンジを想起させる。いわゆる「水戸岡デザイン」の発展型ともいえる。
8両編成のうち座席車は4両のみ。1両はマルチカーと呼ばれるイベントスペース、1両は加熱調理可能なキッチンカー、残り2両はダイニングカーとなっている。合計定員100名という贅沢(ぜいたく)な仕様だ。
ツアーは伊豆の高級旅館、リゾートホテルを組み合わせた1泊2日の「クルーズプラン」と宿泊なしの「食事付き乗車プラン」があり、クルーズプランは2名1室で1名当たり13万5000円から。食事付き乗車プランは2万5000円から(2017年の料金)。
かくして、東急によるクルーズトレインは走り出した。
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