新時代セールスの教科書

【徹底解説】インサイドセールスの「9割」をAIとツールで完結する方法急成長のカギ「インサイドセールス」(5/5 ページ)

» 2024年07月01日 08時00分 公開
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インサイドセールスが新たな役割を担う可能性も

 これまではインサイドセールスに「深く」取り組むことを解説してきたが、今持っている業務を横展開して「広く」やるという考え方もある。

大手企業内の部門開拓

 これはSalesforceなどで行われている業務で、すでに契約している大手企業に対して、契約後の部門開拓でインサイドセールスが活躍することもできる。

 大手企業は数千〜数万の従業員を抱えており、部門数も多い。1部門の取り組みだけでなく、複数部門の取り組みをインサイドセールスが提案して切り込んでいくような動きができる。

 フィールドセールス部門と連携してその会社内の組織図や人間関係を把握し、まだ接点のない部門にアプローチしたり、懇意にしている部門に対して情報交換を目的とする架電をして、今後の投資領域や課題を把握したうえで新しい取り組みを提案したりしていく。

 大手企業との取引スピードを加速させていく役割をインサイドセールスが担うのだ。

パートナーの商談供給

 アライアンスを組んでいるパートナー企業に対して、インサイドセールスが定期的なコミュニケーションを取り、商談供給を増やすためのアプローチをすることも可能だ。

 アライアンスを組めば自動的にパートナーが商談を作ってくれる、ということはまずあり得ない。商談の方法、紹介するうえでの製品の強み、反応の良い顧客の事例、驚かれる新機能、受注につながりやすいセールストーク――など、きめ細かく情報提供をして、「よし、俺もこの製品を売ってこよう」とパートナー企業に思ってもらう必要がある。

 インサイドセールスが架電やデジタルチャネルでパートナー企業ときめ細かくコミュニケーションをとることで、取引はより加速していく。

採用候補者のナーチャリング

 インサイドセールスというと営業のイメージが強いが、実は採用活動でも能力は生きてくる。新卒も中途も今やいい人材は奪い合いであり、各社のアピール合戦になっている。

 そこで、インサイドセールスが各候補者に対して、自社の魅力や直近のイベント、最近あった良い事例や入社したエースメンバーなどの話をして、採用候補者の応募や内定承諾の意欲を高めることも可能だ。

 採用に強い会社は、営業部門のように、毎月の面接設定数や内定承諾数などをKPI/KGIに設定している。ファネルの転換率を高めれば成功数が増えるのは、採用活動においても変わらない。営業活動は、優秀な営業担当者の数が増えるほど、部門の成果も上がる。いい人材を多く採用するスピードを上げる点でもインサイドセールスは機能する。

 本記事では、AIやセールステックによるインサイドセールスの自動化を解説するとともに、その先の展望としてのインサイドセールスの高度化や広域化を紹介した。

 人の仕事が自動化していくなら、人はさらにレベルの高い仕事に挑戦していく余裕が出てくる。この記事で紹介したもの以外でも、AIやセールステックでの業務効率化や、新しいインサイドセールスの業務チャレンジはある。仕事はどんどん進化する。私たちと一緒にインサイドセールスの新しい形を作っていければ幸いだ。

筆者プロフィール:藤島 誓也 株式会社openpage代表

株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙する。

著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)

HP:https://openpage.co.jp/

note::https://note.openpage.jp/

Twitter:https://twitter.com/seiya_fujishima

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCK8wRQksyxBKCVvZ2TNjV0Q


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