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クラファンの存在意義はどこへ向かう? 寄付から物販、「地下Vtuber」を推す場へ変わる今(3/4 ページ)

» 2024年07月10日 09時26分 公開
[金森努ITmedia]

クラウドファンディングと推し活

 最近のクラファン市場で筆者が特に注目しているのが、「推し活」プロジェクトである。推し活とは、自分の好きなアーティストやキャラクターなどを応援する活動のことである。

 クラファンは、この推し活の受け皿として機能している。特にキャンプファイヤーのサイトを見てみると、VTuber(バーチャルYouTuber)関連のプロジェクトが多数立ち上がっているのが見て取れる。それも大手Vtuberではなく、個人で活動している中小Vtuberの顔ぶれが目立つ。

キャンプファイヤーではVtuberに関連するプロジェクトが多数存在する(出所:キャンプファイヤー公式Webサイト)

 その理由としてまず、中小Vtuberの資金調達源としてYouTubeの広告収入やスーパーチャット(投げ銭)は非常に不安定であることが挙げられる。目的が明確化したクラファンのプロジェクトであれば、熱量の高いファンに直接応援を呼び掛けることができ、安定した収益を確保できる。

 特に、Vtuberは何かとお金がかかる職業だ。例えば、新たな「モデル(衣装に相当するもの)」を制作するためには、モデリングやモーションの作成を制作会社などに依頼することになる。その相場は一概に言えないが、数百万円単位の金額がかかることも珍しくない。

 企業に所属し、チャンネル登録者数が100万人を超えるような大手Vtuberなら話は別だが、個人で活動している中小Vtuberがこうした大金を用意するのは容易ではない。そこでクラファンというわけだ。

 調査会社ユーザーローカルによると、Vtuberの数は2022年11月28日時点で2万人を超えたとされている。小規模ながらコアなファンを抱えたVtuberもまた多数生まれている。「地下アイドル」を想像してもらうと分かりやすいかもしれない。

 こうした熱量の高いファンに直接応援してもらう手段として、クラファンは有効に機能する。スーパーチャットとの大きな違いは「リターン」の存在だ。リターンは応援金額の多寡によって、グッズやサイン入りブロマイド、オリジナルボイスや動画、「直接電話できる権利」などが用意されている。大手Vtuberでは難しいような、よりファン個人に向けたリターンを用意できるのは「クラファン×中小Vtuber」の強みだろう。

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