では、この4年、日本人の賃金はどうなったのかというと、どんどん悪くなっている。OECD加盟34カ国の中で日本は韓国、イタリア、スペインと次々と抜かれて2022年は25位で「二軍」扱いだ。しかも、岸田政権になってから実質賃金は26カ月連続マイナスで、リーマンショック時を超える記録を更新中だ。
日本経済を左右するトヨタが好調で、すさまじい勢いで賃上げをしているのに、なぜわれわれ一般庶民には恩恵がないのか。なぜトリクルダウンの「ト」の字も聞こえてこないで、どんどん貧しくなっているのか。
この現象を説明できる答えは1つしかない。「トヨタ自動車」と「日本人の貧しさ」はダイレクトには関係ないということである。ただ、こんな回りくどい話をしなくとも、日本経済の客観的なデータを見ればそれは分かりきった話だ。
日本のGDPの約7割はサービス業によるもので、全就労者の約7割もサービス業で働いている。会社規模で見てもトヨタのような大企業は全企業のわずか0.3%にすぎず、99.7%は中小企業だ。
そしてその350万社のほとんどが、従業員が5人から20人という「小規模事業者」である。これはトヨタの下請けでもなければ大企業と取引もしていない、個人商店や家族経営といった零細企業であることも分かっている。
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