料理は、シンプルかつ豪快な、素材の良さを生かした南イタリア料理、地中海料理が基本。薪焼きのグリルを備え、牛もも肉や豚、旬の鮮魚などを焼いて提供する。地元の魚介をぜいたくに使ったペスカトーラ、淡路島特産の玉ねぎを前面に出したアマトリチャーナなどのパスタも売りである。ドリンク付きランチセットの平均的な価格は4000円前後と、決して安くない。
野菜は、南あわじ市の生産者を開拓し、新鮮な野菜を調達。魚介類は、近くの離島である沼島(ぬしま)や徳島市の中央卸売市場から直送している。淡路産の黒毛和牛、淡路牛も使用するなど、地元の食材をメインに据えてメニューを構築している。
バルニバービが淡路島に出店するのは、トラットリア・アマランチャが初めてではない。淡路市の西海岸、郡家・尾崎地区にカフェ「GARB COSTA ORANGE(ガーブ コスタオレンジ)」をはじめ、約20もの飲食店やホテルなどの施設を次々とつくり「フロッグス・ファーム」と名付けた飲食店街にまで発展させている。
しかし、同じ淡路島でもトラットリア・アマランチャのある阿万は全く地域が異なり、公共交通でつながっていない。車で移動しても、同じ島内なのに1時間ほどはかかってしまう。
なぜ、このような場所へ出店したのか。現在トラットリア・アマランチャがある山林は、ガーブ コスタオレンジなどを建てた建設会社が所有しており、バルニバービに向いた土地ではないかと、販売を打診してきたという。佐藤裕久氏は、この地を見ていたく気に入り、“過去最高”の超バッドロケーションで一軒家レストランをつくる決断をした。
数々のバッドロケーションに慣れている社員の中でも、同地には「さすがに無理」だと考える人は多かった。しかし、担当者であり、グループ会社ピアッティーベッラ(大阪市)の代表取締役・高上彬(「高」ははしごだか)氏は実際にこの地に足を運び、お店に人が集うイメージが明確に描けたという。
高上氏は「ここは全く人が来なかった場所ではなく、地元の人がごくたまに山道を登って、お店のある場所から海まで降りて、魚や貝を採っていた」と話す。元々食材を求めに行く場所だったのが、飲食店の立地として面白い。
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