中古車の価格は1台1台異なる。定価がないため、査定価格などクルマの価値に中古車店がどれだけ利益を上乗せしようとも、販売店の自由だ。
現実には相場より高いクルマはなかなか売れないから、年式や走行距離から相場を判断して販売価格を決める。実際は買い取りや下取りの時点でクルマの状態から査定価格が定まっているから、そこにいくら利益を乗せるかという判断になる。
新車の時には不人気で生産台数も年数も少なく、モデルチェンジされてから再評価されて中古車価格が上昇するようなクルマもある。
米国の25年ルール(生産から25年が経過したクルマは自由に輸入し登録できる)の影響で、かつての日本のスポーティーカーが人気となり、輸出が増えるとともに中古車価格も上昇している。日本では車両盗難の刑罰が軽いこともあって、近年こうした日本車の盗難事件が目立っている印象だ。
以前は一定期間が過ぎれば自動車メーカーは補修部品を提供する義務がなくなるため、クルマは価値を失い、老朽化すれば廃車してスクラップになるのが常識だった。現在でもスクラップになるクルマは一定数ある(鉄の価格が上昇していることもある)が、部品を取り外して中古部品として再生したり、クルマ全体を部品取り車として新興国などに輸出したりするケースもあり、廃車されたクルマの活用法も変わってきている。
CTスキャンや3Dスキャナーなどを駆使したリバースエンジニアリングにより、旧車の部品をリプロダクトする業者も増えた。対象は人気車種に限られるが、従来なら部品が手に入らず廃車するしかなかった旧車も維持しやすい環境が構築されつつあるガソリン車でも、趣味性の高いクルマは価格が低下しにくい現象も起きている。以前なら10年落ち走行10万キロのクルマなど、中古車として価値のないものであったが、現在は部品を再生産したり、リバースエンジニアリング(製品を型取りして図面や部品を作り出すこと)で部品をリプロダクトしたりする業者も登場。かつての中古車市場とは構造が変わってきているのだ。
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