このように退職代行事業者に向かってキレるのは、会社側がそれだけ感情的になっていることの表れなのだと思います。しかし、キレたところで社員が退職するという事実が変わるわけではありません。それどころか、退職代行事業者に対してキレてしまう会社は、多くの勘違いをしています。大きく3点挙げたいと思います。
まず1点目は、キレて悪態をつけばつくほど、退職者側の正しさを証明することになる点です。退職代行事業者を利用するということは、それだけ職場側とコミュニケーションがとりづらい状況にあると推察されます。
その原因が退職者本人にある可能性もありますが、退職代行事業者に対して暴言を吐けば吐くほど、退職の原因が職場側の方にあることの証明になるという自己矛盾が生じます。職場内でも日常的に同じような暴言が飛び交い、パワハラやモラハラなどが横行していることを暗に示していることになるからです。
次に、退職代行事業者から連絡があるまで社員の退職意向に気付かなかったことの方が問題である点です。退職代行事業者経由ではなく本人から直接退職の申し出があったのだとしても、人員が抜けるのであれば新たに採用しなければならないことに変わりはありません。
退職の可能性を予測できていなければ、人員の補充もできないため、事業運営上のリスクとなります。
3点目は、退職代行事業者を利用して辞めるような社員を採用したのは、他ならぬ自社である点です。会社にあいさつもなく突然辞めるのは無責任だという言い分にはもっともな面もあるでしょう。
しかし、その退職者は勝手に会社にやって来て働き始めたわけではありません。書類や面接などを通じて選考を重ね、採用したのは他ならぬ自社です。退職した社員を罵倒するほど、自社に見る眼がなかったことになり、ついた悪態はそのままブーメランとして返ってきます。
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