通勤電車は、朝も夜も超満員です。お昼時になると、オフィス街は活気があり混雑しています。出社回帰の流れが強まる中で、一時のひっそりとした街中の雰囲気と比べて、状況は一変しました。
米IT大手Amazon.comが2025年1月から、従業員に原則として週5日職場に出勤するよう要請したとのニュースが話題になりました(9月17日共同通信)。あらためて自社の通勤体制に思いをはせた経営者やビジネスパーソンも多いかもしれません。
日本生産性本部が発表したテレワーク実施率は、2024年7月時点で16.3%。前回(同年2月)調査時の14.8%よりは若干増えたものの、過去最高値である第1回(2020年5月)調査時の31.5%と比較すると半分程度の数字にとどまります。コロナ禍という未曽有の事態の中でテレワークが推進されたにもかかわらず、半数近くが出社回帰した状況は、果たしてどう受け止めればよいのでしょうか。
ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総研』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ約50000人の声を調査したレポートは300本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。
現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構 非常勤監査役の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
職場が出社回帰を選択するケースは、大きく2つに分かれます。1つはテレワークがうまく機能しなかったケースです。最低限のテレワーク環境はあるものの、業務設計が整っていない状態でコロナ禍に見舞われ、強引にテレワーク体制へと移行して生産性が下がってしまった場合などが考えられます。業績に悪影響が出るようであれば、出社に戻した方がよいという判断になるのは必然でしょう。
もう1つは、テレワーク自体はうまく機能させられたものの、出社に戻した方がさらに生産性を高められると考えたケースです。テレワークすることができるのにそれ以上のものを求めていると考えれば発展的とも言えますし、実験的あるいは挑戦的であるとも言えます。
いずれの場合も、テレワークを続けるよりもメリットがあると考える職場が出社回帰を選択しているということです。
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