近年、インドではキャッシュレス化が驚異的なスピードで進展しており、キャッシュレス比率が飛躍的に上昇しています。カーニー・インドのレポートによると、デリー、ムンバイ、ベンガルールなどの大都市で75%がキャッシュレス決済となっており、小都市でも65%とのことです。
この現象は、政府の積極的な政策とインフラ整備、スマートフォンの普及、消費者行動の変化など、複数の要因が相互に作用した結果といえます。
2023〜24年度のデジタル決済取引件数は約1160億件に達し、前年から42%の成長を記録しました。特にUPIは57%増の1310億件超えという高い成長率を示しています。この急速な拡大により、インド全体のキャッシュレス比率は大幅に上昇し、経済活動における現金取引の割合が減少しています。
インド政府はキャッシュレス化を推進するための政策を積極的に展開しています。2016年の高額紙幣廃止(デモネタイゼーション)政策は、現金依存からデジタル決済への移行を加速させました。
また、デジタルインディアキャンペーンを通じてデジタルインフラの整備を推進し、国民皆銀行口座プロジェクト(Pradhan Mantri Jan Dhan Yojana:PMJDY)によって銀行口座の普及を促進しています。これらの政策は、キャッシュレス比率の向上に大きく寄与しています。
生活者の面から見ると、オンラインショッピングの増加によるデジタル決済ニーズ拡大があります。インターネットに慣れた生活者の90%がオンライン購入時にデジタル決済を好んで使っています。
デジタル決済の普及には、信頼性の高いインフラが不可欠です。現在、118の公的・民間銀行がUPIに統合されており、QRコード決済も広く普及しています。決済ゲートウェイの統合により、生活者と事業者の双方にとって利便性が大きく向上しています。
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