AIやブロックチェーン技術を活用した多様なエンタメプロジェクトを手掛けるKulture(東京都港区)は、新たな音楽ライブ体験を実現するプラットフォーム「KLEW」(クルー)を発表した。ファン同士や、ファンとアーティストがコミュニケーションできる場を展開することで、アーティストが持続的に活動を続ける上で欠かせないファンのロイヤリティ向上を目指す。
KLEWプロジェクトのリーダーを務める江戸原允文氏は「AI、ブロックチェーン、Web3、メタバースといったテクノロジーの力で新しいエンタメを作り、アミューズグループのシナジーを生かして、価値のあるプロダクトを業界に提供していきたい」と意気込む。
ライブはファンの熱量が高まる瞬間である一方、これまでアーティストやマネージメントが来場者の情報を把握したり、ステージ外で来場者だけに何かを伝えたりするのが難しい状況だった。同社はこの課題を解決するために、来場者が持つチケットを「入場するためだけの存在」から、アーティストとファン、ファン同士のコミュニケーションのきっかけとなるツールへと進化させる必要があると考えたという。
そこでKLEWには、AIを活用したチケット認証機能を実装した。ユーザーの手元にあるチケットをKLEWが読み込み、どのようなユーザーが公演に来るのかを判別する。認証したユーザー情報は、アーティストやマネージメントへ還元する仕組みだ。
チケットが認証されたユーザーと、出演するアーティストだけが参加できるコミュニケーションチャンネルも用意した。ライブ前後にファン同士やアーティストとの交流を促進することで、ライブへの期待感や満足度を向上させる。
アーティストに対して、ダイレクトに金銭的な支援ができる「スーパーメッセージ」機能も付けた。同機能により、チケットとグッズに加えライブに新たな収益をもたらす。
ファンのロイヤリティを証明するバッジとトークンも実装した。今後このバッジやトークンを活用し、熱量の高いファン向けの優待機能の導入も検討中だという。
ローンチ時の利用アーティストとして、すでにThe Novembers、君島大空の一部公演で本サービスの導入を開始している。江戸原氏はサービスの狙いを「出演者と来場者の熱量が最も高く交差するライブという瞬間において、現状のチケットはそのままで、入場券からファンエンゲージメントへ進化させる点にあります。そこでのエンゲージメントが新たなマネタイズとなり、出演者の持続的な活動へ貢献できる仕組みを提供したいと考えました」と語る。
「この仕組みを実現するための特徴的な機能として、AIを活用したチケット画像の認証機能、そしてアーティストと関わった証としてNFTを発行する機能も実装しました。音楽ライブだけではなく、スポーツや映画など多様なイベントにも対応が可能で、グローバルでも利用できます」
同社は音楽に限らず、演劇、スポーツ、映画など、表現者とファンがチケットを通じてつながる市場の拡大を目指していく。
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