本来、営業進捗が進んでいるかどうかは、企業の営業担当が全て判断しきれるものではない。営業の提案に対して、どのように社内で話を進めているかという進捗は顧客が握っており、顧客側の動向をデータでチェックする方法が、最もブレがない。
データはうそをつかない。「デジタルマーケティング」の発想を参考にするべきだろう。
デジタルマーケティングでは、見込み客に対して行った広告提案が、実際に刺さっているのか、顧客を動かしているのかをデータで分析する。興味があればクリックするし、なければスルーされる。だからマーケターは顧客に見てもらうために広告提案を再企画したり、ABテストをしたりしながら、顧客を動かすメッセージを作り込む。
営業も同様に、「デジタルセールス」をして、毎回の商談に対する反応を見たり、顧客のアクション状況を分析したりして、受注確度を判断したほうが良い。
openpageではデジタルセールスルーム(DSR)で、毎回の商談のアジェンダ、提案内容・議事録・ネクストアクションを作り込み、それを顧客にデジタル共有している。興味やニーズが高いほど提案は読み返される。提案が読み返されるということは、それだけ真剣に検討されているということだ。SFAの商談フェーズが前に進んでいるなら、関係各所での検討や説得、すり合わせのために、DSRでの提案が何度も読み返されていないとおかしいのだ。
よく発生しているのは、SFAでのフェーズは後半に差し掛かっているにもかかわらず、DSRの視聴状況は1〜2回であるケースだ。提案を1〜2回しか読み返していないのに、「決裁者と調整中です」というのはありえない。実態は、顧客の真剣度は高くない。
本来、営業活動とは「営業」と「顧客」の共同作業だ。営業から受けた提案や議論の内容をもとに、顧客が社内で関係各所に再提案したり、議論したりというアクションがあり、そうやって案件は前に進む。
そのため、営業だけで商談進捗を把握することは不可能であり、顧客がどう動いているのか、データを基に補足する必要がある。顧客のリアルな気持ちを理解するには、顧客の行動データを取得するしかない。
「顧客の視点で営業をする」「お客さまのために提案する」――これは再三にわたり聞く表現だ。読者のみなさんの組織では、営業マネジメントが内向きになっていないだろうか? 営業の視点だけで商談を捉えていないだろうか?
受注確度は、顧客の視点を吹き込み、顧客の実際の動きを起点に会話をすることで確実性が高まるのだ。
株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙する。
著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)
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