新潟日報生成AIは、当面は個人への展開はせず、企業や自治体などの団体向けの展開に徹する方針だ。一方で、新潟日報の読者の大半は一般消費者であり、どのように市民に還元するのかは気になるところだ。
「最初は企業、団体との連携からスタートさせていきますが、新潟日報の読者は高齢者を中心に、数多くいます。一般の読者を中心に、何かうまくつながれるような仕組みができないかとは考えています。例えば、新聞を定期購読している人が受けられるサービスも今後あり得るかもしれません」(鶴間社長)
一方で、新潟日報に限らず、新聞データベースは各自治体の図書館に行けば、館内のPC端末で調べられるのが今や当たり前になっている。これと同様に、いわばB2B2C的に、図書館を通じて新潟日報生成AIの一般消費者への提供も十分に考えられるという。
「現段階では、個人の需要が予測できない部分や価格の面もあり、企業や団体のみの展開にしています。しかし個人からの問い合わせがあれば、どのようなサービスとして展開できるのか、検討していきたいと考えています」(鶴間社長)
新潟日報生成AI研究所の取り組みは、地方紙の新たなビジネスモデル創出の可能性があるだけでなく、地域社会の課題解決と生産性向上にもつなげられる意義深い挑戦だといえる。この施策がうまくいけば、モデルケースとして他の地方紙でも応用できるのは大きい。
地方紙を中心に、新聞雑誌などの記事データ数は膨大で、1億件以上の記事データを提供する国内サービスもある 。これはかつて「新聞大国」と呼ばれ、今でも人口あたり世界トップクラスの新聞発行部数がある日本ならではの文化資源だ。これを生成AIに活用することができれば、他国に差をつけられるかもしれない。
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