「ゲオのスウェット 658円」の衝撃 ペラペラなのに、なぜ「週に1万着」も売れるのか週末前に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2025年02月27日 06時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「テレビ」を中心に商品開発

 ゲオがアパレルに参入したのは、2022年である。右も左も上も下もよく分からない中で、グローバル展開をしている会社と“がっぷり四つ”に組んで戦っても、結果は見えている。

 業界のトップランナーは高機能の素材を開発しているし、多くの人に好まれるデザイン力もあるし、データを分析する人材もそろっているし、国内外でブランド力があるし。なにからなにまで圧倒的な差があるなかで、突破口はどこにあるのか。そう考えた末に、たどり着いた答えが「価格」だったわけだ。

 ゲオのアパレル戦略でユニークな点は、ルームウェアに特化していることである。「スウェットは家で着てもらって、外出するときは近所のコンビニまで」といった具合に、コンセプトが明確なのだ。

 「スウェットはペラペラなので、風が強い日に外出すると、隙間から風がビュービュー入ってくるんですよね。ですので家の中であれば問題はないですが、外出するときにはワンマイル程度にしていただければ」(松岡さん)

店内でスウェットを販売(ゲオひばりヶ丘店、以下同)

 アパレルのキャッチコピーを見ると、次のような言葉をよく目にする。「家でも外でも、オシャレでカッコよく」――。だが、しかし。ゲオの担当者からは「ペラペラ」とか「風がビュービュー」といった表現が出てくる。こうした言葉が使われるのは、単に「謙遜」や「自虐」によるものではなく、「テレビ」が大きくかかわっているようだ。

 このような話をすると、ピンときた人もいるかもしれないが、ゲオの店内にはDVDやCDが並んでいる。テレビやイヤフォンもあるし、マクラもある。そうした商品が並んでいる中で、スウェットを見た消費者は、このように感じるかもしれない。「映画やドラマを見るときに、この服を着るといいかも。家でゴロゴロしたいときにピッタリだ」と。

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