それを裏付けるのが、2010年代後半の業績だ。この時期、さくら水産の500円ランチは「庶民の味方」「男たちのオアシス」などと称賛されていた。では、その結果どうだったかというと、散々な結果だった。
テラケンの過去3年間の経営成績が公開された。各期の営業損益は16年2月期で1億6800万円の赤字、17年2月期が1億6600万円の赤字、18年2月期が2億6500万円の赤字だった(J-CASTトレンド 2021年11月26日)
では、こうした「破滅的な安売り」に陥らないためには、どうすればいいのか。“激安居酒屋の十字路”をうまく乗り切ったケースとして参考になるのが、鳥貴族だ。
鳥貴族もかつては全品280円均一で「激安居酒屋」の代表だった。当然、そこに集っていたのは「安さに引かれて集まった客層」なので、値上げへの反発は非常に強かった。2018年に298円に値上げをした際には著名な外食チェーンの専門家が、「客離れが進んだ。回復のためには値段を元に戻すしかない」と警告するほどだった。
しかし、鳥貴族はどこ吹く風で値上げを続けた。2023年には全品350円均一になっていたものをさらに360円に上げると発表したら、フードアナリストが「価格に見合う価値がない」とボロカスに叩いた。
だが、鳥貴族はそれも無視して現在は390円まで上げた。「外食のプロ」たちがここまで反対していた「値上げ」を強行したわけだから、普通に考えれば深刻な客離れが起きて、業績悪化で店舗数が激減しているはずだ。しかし、現実はそうなっていない。
2019年7月末の店舗数が659店、2025年7月期12月時点で652店とほぼ横ばいである。しかも、「やきとり大吉」を買収した関係で、国内1000店舗以上を擁する焼き鳥チェーンに成長し、海外進出も積極的に進めているのだ。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング