リファラル採用で入社した社員の早期離職を防ぐため、紹介者に支払う報酬を入社後半年経過後に支払う、あるいは入社直後と一定期間が経過した後の2回に渡って支払うようにしている会社もあります。現金な話ではありますが、こうした制度を設ければ、紹介者も報酬をもらうために入社した人が辞めないようにサポートするという効果を見込めるからです。
中途採用者が短期間で離職する理由として、研修や周囲からのサポートが受けられなかったというものがあります。スタートアップ企業や中小企業は、最小人数で回していて全員が目の前の仕事を対応するのが精一杯。他の人に教える余裕がないという状況がありがちですので、こうした制度は効果があるかもしれません。
中途採用における有効な手段として脚光を浴びているリファラル採用ですが、終身雇用制度が継続していた時期(リーマンショックによる不況が始まる前くらいでしょうか)、採用する側の企業では「よい人材は紹介でしか採れない」、求職者側も「よい転職先は公開されない」「中高年の転職は紹介が基本」という暗黙知があったように思われます。まだまだ終身雇用がよいという考えも残っており、「転職を希望して求人サイトに自ら登録するような人は信用ならない」と考える人もいたからです。
一方で求職者側からすると「35歳転職限界説」という、35歳を超えて採用されるのはブラック企業か待遇が著しく良くない企業しかないという言説も信じられていました。実際、好条件の求人企業は、ヘッドハンティングなども含め、紹介でしか門戸を開かないというのは実情に近かったかもしれません。
リファラル採用のような紹介による中途採用は、管理職や成績が秀でていたセールスパーソンなどに限られていたように思われます。リファラル採用と同じく脚光を浴びているアルムナイ採用(退職した社員を再び雇用する採用方法)も同様です。経営者と意見が対立し会社を飛び出した管理職が、かつて在籍していた会社の経営陣の変化に伴い戻るようなケースも見聞きしましたが、今のように幅広い年齢を対象にした採用方法ではありませんでした。紹介する人もそれなりに高い年収を得ている管理職以上の人が多かったため、現在のように成功報酬を払うようなケースもあまりなかった印象があります。
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