働き方を変えるDXサービスを手掛けるSansanは、いま米国で社会現象となっている新興スポーツ「ピックルボール」の日本人選手2人とスポンサー契約を締結した。スポンサー契約を通じて、ブランドの認知向上や企業価値の強化を目指す。創業者兼社長の寺田親弘氏に、同競技との出会いや具体的な狙いを聞いた。
ピックルボールは、テニス、卓球、バドミントンの要素を組み合わせた米国発祥のスポーツだ。米国ではここ5年間でプレーヤー人口が6倍に拡大している。
他社ではバーガーキング運営元のビーケージャパンホールディングスが、「ピックルボール日本連盟」とスポンサー契約を締結。8月11〜14日まで東京・有明テニスの森公園で日本初となる国際チームリーグ戦「PJFピックルボールジャパンリーグ(PJL)BURGER KING CUP」を開催する。バーガーキングの店舗では期間限定メニュー「ピックルボールバーガー」も販売中だ。
このように今、企業のスポンサー熱が高まっているのが、ピックルボールなのだ。ピックルボール専門メディア「Pickleball one」を運営するピックルボールワン(東京都渋谷区)は、同メディアのユーザーデータをもとに、日本国内の競技人口を独自に推計。2025年3月時点で、国内のピックルボール競技人口が約4.5万人に到達したと発表した。
これは、前年(2024年3月時点)の推計値と比較して約5倍の増加にあたるという。米国を中心に人気を誇るピックルボールが、日本国内でも急拡大していることをうかがわせるデータだ。
そんなピックルボールを、Sansanが支援したきっかけは、創業者兼社長の寺田親弘氏が「今、米国ではとにかく流行している」と現地のビジネスパートナーから聞いたことだったという。さらに、「投資家やスタートアップ経営者が、ピックルボールを通じてネットワーキングしている」という話も耳にしたと語る。
同社はピックルボールが持つ世代や価値観を越えた「出会いを生む力」に着目。2024年2月から体験イベントや企業交流会など、国内での普及活動を始めた。2025年からは、日本初のグローバルトッププロ育成プロジェクト「Pickleball X」のパートナー企業として協賛を開始した。
今回スポンサー契約を結んだ畠山成冴選手、佐脇京選手は、Pickleball Xの第1期メンバーとして、世界挑戦を目指していく。具体的なサポートとしては、選手活動に必要な金銭・物品提供に加え、名刺作成や関係各所とのネットワーキング支援、他企業との橋渡しなど、包括的なサポートを実施する。
「当社はミッションとして『出会いからイノベーションを生み出す』、ビジョンとして『ビジネスインフラになる』を掲げています。このピックルボールの盛り上がりに対して、私たちがサポートに入ることにより、新しい価値が創造できると考えています」(寺田氏)
8月には世界最高峰のプロ・ピックルボールツアーPPA Tourに日本で初めて選出された大会として「PPA TOUR ASIA Sansan FUKUOKA OPEN 2025」が福岡県糸島市で開催される。賞金総額は1000万円を予定しており、日本でピックルボールが文化として成長していくための新たな一歩を踏み出す。
寺田氏は、「このフロントラインに立つ選手に、Sansanの名前を持って活躍してもらうことにより、当社としてのブランド活用は進むものと考えています」と話す。
「そもそもブランディングやマーケティングは、自分たちが信じているものの価値を、何か他のものとつなげながらコミュニケーションしていくことだと思っています。いまピックルボールには、全く違うフィールドから新しい人たちが入ってきて、一つの市場が出来上がろうとしています」
「私たちも一見地味ではありますが、『市場を創造する』つもりで名刺管理や請求書に向き合ってきました。このピックルボールという新しい市場が出来上がっていく流れに、自分たちが入っていくことで、それを見てくださる方々にもSansanというブランドへの期待が形成されると考えています」
スポーツ領域での挑戦を通じて、新たな事業価値と社会的インパクトを創出できるか。
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