鈴木氏の活動は電通での仕事だけにとどまらない。映像作家としての個人活動も同時にこなしており、さまざまなヒット作品を世に送り出してきた。
そのため、周囲からは「二足のわらじ」と見られがちだが、鈴木氏自身はまったく違う捉え方をしていた。
「僕の中では全部つながっているんです。企画で関わったアーティストから『MV作ってよ』と言われることもあれば、逆にMVで関わった人から広告の仕事が来ることもある。結局、仕事もプライベートも、みんな一緒にやっている感じなんですよね」
取材の過程で、鈴木氏が20代にして活躍する理由が十分に分かった気がした。本人は、自分が早くから周囲に評価された理由を、どう考えているのだろうか?
「早めに『名刺』を作ったからですかね。ここで言う名刺とは、『これは俺がやりきった』と胸を張って言える仕事のこと。1個でも2個でもいいから、世の中に広がるような仕事を作る。そうすれば、自分が何者かを証明できるポートフォリオになるんです」
ただし、その「名刺」を作るためには、待っていてはダメだと鈴木氏は断言する。
「面白い仕事を待っている人が本当に多い。でも、最初から面白い仕事なんてないんです。だから『仕立てる』んです。与えられた仕事に、自分なりの付加価値をつけていく。クライアントの期待を超える提案をし続けるんです」
面白い仕事は、待っていても来ない。だから、自分から仕掛けていく。その積み重ねが、いつか誰かを触発する仕事につながっていく。鈴木氏が20代にして、広告業界の第一線で活躍する理由が垣間見えた気がした。
【お詫びと訂正:8月19日午前11時00分、タイトルの表現を一部訂正いたしました。】
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