ドン・キホーテ(以下、ドンキ)の店内をぐるぐる回っていて、ここ数年ずっと気になっていることがある。キャリーケースの売り場がどんどん広くなっているのではないか、という点である。
ご存じのように、ドンキの売り場レイアウトは、店舗によって大きく違う。コスメをたくさん扱っているところもあれば、アパレルがズラリと並んでいる店もあれば、アルコールがひしめきあっている場所もある。多くの商品は、いわゆる“圧縮陳列”によって、天井近くまで積み上げられている。
「空白のスペース=機会損失」となるので、同社は「できるだけ高く積み上げよう」といった方針を掲げているわけだが、キャリーケースはちょっと違う。壁沿いに並べる場合は、2〜3段に積むこともできるが、それ以外のところでは基本的に平置きである。つまり、キャリーケースを並べれば並べるほど、空白ができてしまうので、もったいない……はずである。
にもかかわらず、筆者がドンキの店舗をいくつか回ったところ、いずれもたくさん平置きしていた。ということは、スペース効率が悪いにもかかわらず、それを上回る売り上げがあるのではないか――そんな仮説が浮かんだのだ。
ドンキの広報担当者に尋ねたところ「直近の売り上げは、年160億円ほどでした(PPIH全体)。コロナ前と比べて、2倍ほど伸びています」とのこと。個人的に「ドンキ=キャリーケース」のイメージがあまりなかったが、なぜここまで売れているのか。
また、売り場をよく見ると、個性的な商品がいくつか並んでいる。折りたたんでぺっちゃんこにできるタイプや、推し活にぴったりのデザインなど。キャリーケースのデザインは、ベーシックなモノが多いのに、なぜとんがった商品を開発するのか。
売り上げが伸びていること、とんがった商品を開発すること、この2つの背景を探るために、ドンキでキャリーケースを担当している竹内悠葵(ゆうき)さんと中川貴博さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケ
ドンキは本当に最強なのか? 地方スーパーが突きつける“一強多弱”の限界
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モールCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング