今や15年目の「まどマギ」、どう盛り上げているのか? 古参も新規も取り込む“入口の多層化”戦略を考察エンタメ×ビジネスを科学する(2/4 ページ)

» 2026年01月16日 07時00分 公開
[滑健作ITmedia]

狩野英孝×副音声=初見の目線とリアクション

 2025年放送の『「始まりの物語/永遠の物語」TV Edition』では、お笑い芸人の狩野英孝氏が副音声コメンタリーとして参加し、全11話分のコメントを届ける形が取られた。

 この試みの特長は、単に放送するでもなく作品に詳しい人に解説させるでもなく「初めて触れる人の感想」を前面に出した点である。

 考察を深められる作品ほど、新規層は「どこを見ればいいか」で迷いやすい。そこに、テレビやゲーム実況などで幅広い年代から支持される「狩野英孝のリアクション」をぶつけたのである。

 彼のリアクションは、映像視聴を「一緒に戸惑い、一緒に驚き、そして一緒に笑う」体験へ変える力を持つ。結果として、新規層には安心な動線と疑似的な共感相手を、既存ファンには“初見の衝撃の追体験”を提供したのである。

 加えてテレビ放送によって、コンテンツの盛り上がりを同じタイミングに集中させる狙いもあっただろう。以前の記事で「アニメ×テレビ放送の新たな役割」の一つに同期性があると書いた。

 テレビ放送(と、放送時に感想・考察が入り乱れるSNSのトレンド)は、コンテンツを好む見知らぬ人々と、同じ時間に同じ作品を視聴し、同じように感情を共有するイベント性を持った非日常体験である。

 人気配信者による同期性の活用はゲーム業界で活発に行われており、ゲーム配信などで日本トップクラスの同時接続数を記録する狩野英孝氏の起用は理に適っている。現代における消費者の視聴環境にあわせて同期性を発揮し、かつ新規層獲得と既存層の再燃を同じ仕掛けで回す、非常に優れた設計といえる。

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