「山田くんに100円振り込んで」話しかけるだけで完了 住信SBI銀行、5人の若手が内製したAIエージェントの裏側(4/4 ページ)

» 2026年02月27日 15時56分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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ベータテストの先に見据えるもの

 ベータテストはまず数千人規模で始まる。対象は同社の特定支店に口座を持つ個人顧客のうち、応募者から選抜する形だ。応募した約1万人の属性を見ると、アプリのヘビーユーザーが多かったという。

 機能としてはすでに完成しており、テストの狙いは「どれくらい使われるかの見極め」(半田氏)にある。NEOBANK ai自体が直接収益を生む機能ではない。どの層にどの範囲まで提供するかを判断するには、実際の利用データが要る。アプリ上にはフィードバック画面を設け、利用者が「いいね」を押したやり取りの傾向も分析する。数カ月かけて対象を広げていく方針だ。

 半田氏はNEOBANK aiが持つバリアフリーとしての可能性にも力を込めた。「視覚にハンデのある人でも、LINEが使える人なら使えるようにしたい」。

 ネット銀行はこれまで、小さな文字と複雑なメニュー構造がシニア層の壁になってきた。かといって銀行の店舗窓口は統廃合が進み、相談の予約すら簡単には取れない時代である。声で話しかけるだけで手続きが完結するなら、ネット銀行はむしろシニア層にとって最もフレンドリーなチャネルに変わり得る。AIの進展が、ITに不慣れな層との格差を逆転させるかもしれない。

 その先には、さらに大きな構想がある。関氏は「生成AIのプラットフォーム上で銀行取引が行われる世界が来る」と語る。田村氏も「AIエージェント同士が各サービス間でコミュニケーションを取っていくようになる」と見据える。

 たとえばChatGPTのような対話AIの中から、そのまま口座開設まで完結できるような導線も視野に入っているという。銀行アプリの中にAIを組み込むだけでなく、AIの側から銀行にアクセスする世界だ。

 半田氏は「数カ月かけて提供範囲を見極めたい」と慎重に語るが、開発者自身はとっくに答えを出している。田村氏はもう、従来の画面から振込をすることはない。

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