富裕層向けクレジットカード市場は、参入企業の増加によって競争が激しさを増している。
「ダイナースクラブカード」を発行する三井住友トラストクラブ(東京都中央区)の五十嵐幸司社長は「この数年でゴールドカードが一般化し、プラチナカードも増えてきた。かつては限られたプレイヤーだけの市場だった富裕層向けカードに、多くの企業が参入している」と変化を語る。
こうした変化に対応するため、ダイナースクラブカードは4月から、24種の新サービスの提供を開始する。
競争が激しくなる富裕層カード市場で、老舗ブランドはどのような差別化を打ち出そうとしているのか。
サービス企画部の天本裕部長は、カード会員である富裕層の価値観にも変化が見られると話す。
体験の質やストーリーへの共感など、無形価値への関心の高まりに加え、タイパ志向や健康・ウェルビーイングへの意識が高い層も増えているという。
天本部長は、24種の新サービスの代表例として「グルメ」「ウェルビーイング」「タイパ・効率化」の3テーマに沿ったサービスの例を紹介した。
グルメ分野では、対象レストランで利用額に応じて最大20%をキャッシュバックする「My Taste from ダイナースクラブ」や、予約困難店でのグルメ体験を提供する新サービスを展開する。また、従来から提供している、2名以上の利用でコース1名分が無料になる「エグゼクティブダイニング」については、海外店舗の追加や対象店の拡充などサービス内容を強化する。
ウェルビーイング分野では、ゴルフ場の割引クーポン、オーディオブックサービスの優待、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」の入会金無料といった特典を用意し、会員の健康への自己投資を支援する。
また、タイパ・効率化をテーマとしたサービス群では、高収入を得ている共働き夫婦を表す「パワーカップル」層などを想定し、サービスを用意した。
具体的には、タクシー配車アプリ「S.RIDE」のクーポン発行や、冷凍グルメ通販サービスの割引、がんリスク検査サービスの優待などを通じ、生活の効率化につながるサービスを提供する。
この3分野以外にも、「ショッピング」「ビジネス」「コンシェルジュ」などの分野で新サービスがスタートするという。
これらの取り組みに共通するのは、カードを「特別な日のための存在」から、日常のさまざまなシーンで使われるサービスへと広げていく考え方だ。
これまでダイナースクラブカードは、記念日などの特別な場面で利用されるケースが多かった。今回のサービス拡充では、そうした使い方に加え、日常の外食や生活シーンでの利用機会を広げることを狙う。
例えば、グルメ分野の新サービス「My Taste from ダイナースクラブ」は、高級店だけでなく友人同士の食事などでも利用しやすい店舗まで対象を広げている。こうした日常的な利用機会を増やすことで、カードの利用頻度を高めるとともに、会員と店舗の関係を「一度きりの利用」から「継続的な利用」へと広げていく狙いがある。
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