アナログ回帰は、一過性のブームなのか。三浦さんはそうは考えていない。数年前に実施したユーザーインタビューで聞いた、とある若年層ユーザーの音楽の楽しみ方から確信を得たという。
テレビを消し、スマートフォンも手放し、音楽だけに集中する――。土曜の朝や就寝前の深夜に、自分だけの空間で音楽を楽しむ。「ながら聴き」ではなく、音楽と真剣に向き合う時間として位置付けるユーザーが多かったという。「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げるための儀式のようなものとして、音楽を楽しむ時間をつくっていた」(三浦さん)
アーティスト側も、LP盤には歌詞を手書きで記したり、写真集を封入したりと、デジタルでは届けられない体験を盛り込んでいる。ユーザーからは「アーティストの思いに直接触れられる」という声も寄せられており、モノとしてのレコードが持つ価値は、ストリーミングとは別の軸で広がりを見せている。
アナログ回帰の動きは、レコードに限った話ではない。例えば、カメラの分野でも富士フイルムの「チェキ」や「写ルンです」が若年層を中心に支持を広げ、長期的な成長を続けている。デジタル全盛だからこそ、手間をかけて楽しむ体験に価値を見いだす消費者が業界を問わず増えているようだ。
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