任天堂「ぽこ あ ポケモン」爆売れで株価急騰 “異色ゲーム”がもたらす長期的リターンとは?(2/3 ページ)

» 2026年03月16日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

「パルワールド」との、決定的な違い

 本作を語る時、2024年1月に発売された「パルワールド(Palworld)」の存在が脳裏をよぎるのは私だけだろうか。

 同作は、ポケモンとの類似性が指摘されたモンスターデザインと、サバイバルクラフト要素を組み合わせ、発売1カ月あまりで2500万プレーヤー、推定700億円近い売り上げを叩き出した。

 両作品は「モンスターと共に生活するクラフト系ゲーム」という大枠では同じカテゴリに見えるが、ゲーム体験の設計思想は根本的に異なる。

 パルワールドの核心は「サバイバル」だ。

 プレーヤーは時間経過で消費する「空腹ゲージ」がゼロにならないよう管理し、敵対NPC(プレーヤーが操作しないキャラクター)や野生モンスターとリアルタイムで戦闘する。捕獲したパル(モンスター)は拠点の農作業や工場労働に従事させ、効率的な生産ラインを構築するリソースとして機能する。

 「パルを解体して食べる」「労働させる」といった、ポケモンシリーズではタブーとされるようなダークな表現を逆手に取り、その毒気のあるユーモアがSNS上での話題性を加速させた。

 一方「ぽこ あ ポケモン」の核心は「共存」である。

 本作には戦闘システムそのものが存在しない。空腹ゲージもなく、死の概念もない。

 メタモンが出会ったポケモンの技を見て覚える。フシギダネの木の葉で緑を増やし、ゼニガメのみずでっぽうで枯れ草に水をやる。

 ポケモンは「使役する労働力」ではなく、「一緒に暮らす隣人」として描かれる。ゲーム内時間は現実と連動し、空腹のために急ぐ理由がどこにもない。

 この対比は、同じ「モンスター×クラフト」というフォーマットの中で、IPの思想がゲーム体験をどこまで分岐させるかを示している。

 パルワールドが「ゲーマーが潜在的に求めていたポケモン体験」を外側から実現したのだとすれば、ぽこ あポケモンは「ポケモンの世界観でしか成立しない体験」を内側から定義し直したというべきだ。

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