VTuber事務所「エニーカラー」の株価が半減……「売れ残りグッズ」に潜む構造的な課題(3/4 ページ)

» 2026年03月24日 09時50分 公開
[古田拓也ITmedia]

VTuber事務所は令和のサンリオになれるのか?

 サンリオ(8136)との比較が示唆的だ。

 エニーカラーの第3四半期累計の営業利益成長率は54.2%増。サンリオの同期間(2026年3月期第3四半期累計)の営業利益成長率は51.8%増。成長率はほぼ同水準である。

 ところがPERはエニーカラーの約12倍に対し、サンリオは約25倍だ。25年分の利益を先取りしている。時価総額ではエニーカラーの約2100億円に対し、サンリオは約1兆3600億円と6倍以上の差をつけている。

 この差はどこから来るのか。サンリオのハローキティは1974年生まれだ。50年以上「引退」していない。適応障害にもならないし、深夜配信で体を壊すこともない。SNSで炎上することもなく、「方向性の違い」で事務所を辞めることもない。

 サンリオの収益モデルの中核はライセンスビジネスだ。自社でグッズを製造するのではなく、IPをライセンスして他社に作らせる。だから在庫リスクがない。キャラクターは疲れない。

 一方、エニーカラーはどうか。価値が「中の人」の心身に依存している。中の人は業務委託の個人事業主であり、労働基準法の保護が及ばない。深夜配信と誹謗中傷の中で消耗し、卒業していく。

 海外の機関投資家が業績予測モデルを組むとすれば、5年後のキャッシュフローを確度高く予測できるのはサンリオということになる。エニーカラーは来年のトップライバーが誰になるかすら予測が難しい。

 市場が割り引いているのは、利益の質と持続性なのである。

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