どういうことか、順を追って説明しよう。まず、これらの「タクシードライバーがもうかる」報道を読んでいただければ分かると思うが、手取り100万など景気のいい話は「東京に限られる」とされている。この手の「もうかってウハウハです」的なニュースは地方の現実を無視したものが多いのだ。
なぜ東京はそんなに景気がいいのか。配車アプリの普及など、さまざまな理由が挙げられるが、最も大きいのは、日本人以外の利用者が大幅に増えたことに尽きる。
東京都によれば、2019年に東京都を訪れた外国人旅行者数は約1518万人だったが、2024年には約2479万人まで増加している。では、都内移動で重要な役割を担う東京のタクシーは、この5年間でどう推移したのか見ていこう。
公益財団法人東京タクシーセンターの統計で、営業している法人タクシー運転手数の目安となる「運転者証交付数」を見ると、2019年度4月の5万9591人から、2024年度4月には5万1400人となり、8191人減少している。また、個人タクシーの数を示す「事業者乗務証交付数」を見ると、2019年度4月の1万1934人から、2024年度4月には9035人となり、2899人減少している。
つまり、外国人観光客は5年の間に約961万人と、東京23区の人口に匹敵する規模が増えたにもかかわらず、東京のタクシー運転手は1万1090人も減っているのだ。
需要は爆増しているのに、供給が減少していけば、価格がつり上がっていくのは経済の大原則である。都内のタクシーがバブルに沸いているのは、高齢化やコロナ禍でドライバーが減少したところに、外国人観光客が大挙して押し寄せているに過ぎない。とどのつまり、安倍・菅政権から進めてきた政府の観光立国政策による「インバウンド特需」だ。
そんな分かりやすい現象を、市場も産業構造もまったく異なる米国で生まれた「ブルーカラービリオネア」という概念をわざわざ引っ張り出して騒ぎ立てる。「バズるニュース」をつくりたい気持ちは分かるが、さすがにこれはちょっとやりすぎだ。
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