加えて、タクシードライバーの脅威となるのが、(2)の「外国人観光客が熱望するライドシェア本格普及」である。これまで述べてきたように、日本を訪れる外国人観光客は、限られたタクシーを日本人利用者と奪い合わなければならず、不満を抱えている。
内閣府規制改革推進室が2025年1月に発表した「訪日外国人の移動に関する実態把握」によれば、訪日外国人の67.2%がタクシー利用に困った経験があると回答。具体的に困った内容で最も多かったのは、以下の項目だった。
「タクシー乗り場に行列ができており、乗れなかった/待ち時間が長かった」(33.3%)
外国人観光客の急増に反比例するような形で、タクシーが減少しているので当然といえば当然の結果だが、一方で外国人観光客が望んでいるのが、ライドシェア制度だ。
海外へ行く方にはおなじみだが、世界では一般の人がアプリで利用者とマッチングし、自家用車で送迎する「ライドシェア」制度が普及しており、国によっては「安くて安全」と絶大な信頼を得ている。
これは外国人観光客も同様で、先ほどの調査で「日本でライドシェアが利用できたら滞在時の移動しやすさが改善されると思うか」という質問に62.0%が「改善されると思う」と回答。「ライドシェアが導入されていたら、もっとできたことがあると思うか」という質問に対しては、75.0%が「もっとできたと思う」と回答した。つまり、ライドシェアが普及していないことが、観光面での機会損失を招いている可能性があるのだ。
嫌がる人も多いが、日本人消費者が激減しているこの国では、移住するわけでもなく、しばらくすれば自国へ帰る「外国人消費者」は、地方経済にはなくてはならない存在となっている。2025年のインバウンド消費は、過去最高の9兆5000億円。観光は「輸出産業」という扱いで、これは自動車産業に次ぐ規模となっている。そんな「基幹産業」である観光分野で、顧客である外国人観光客から要望が出れば、政府も対応せざるを得ないだろう。
日本のライドシェアは、他国と異なりタクシー会社の管理下で行われていることもあり、あまり普及していない。しかし、これが誰もが参入できて、利用者も気軽に使えるようになるほど普及すれば、諸外国のような「兼業ドライバー」も増えていく。
そうなれば、専業タクシードライバーにとって大きな脅威になることは言うまでもない。少なくとも「ブルーカラービリオネア」などと安泰でいられるような立場ではない。
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