やるならば「カバンの一等地(目立つところ)を取りにいこう」と決め、2024年の夏からミルミの開発に着手。ユカイ工学は男性社員のほうが多いが、ミルミの開発チームは主要メンバーを20〜30代の女性とした。「自分たちがほしいもの」を突き詰めるには、ターゲットに近い感覚を持つ女性を中心とするべきだと考えたためだ。
初披露の場は、米国ラスベガスで毎年開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES」と決め、開発に取り組んだ。ふさふさとした毛質や赤ちゃんのような気まぐれな振る舞いなど、“生き物らしさ”にこだわったという。
「振る舞いは100種類に及びます。赤ちゃんや犬などの動きを参照し、眠たいときや気だるいときのゆっくりとした動きなど、自然体に見えるように工夫しました。元気よく振り向くとロボット感が出てしまうので、顔を上げるときも弧を描くように上げるなど、一癖二癖あるような動き方にしました」(金川氏)
2025年1月に開催されたCESで完成品を披露すると、報道陣が押し寄せた。報道がさらなる報道を呼び、それを見た人が会場に詰めかけるような連鎖が起こった。
「CESでお披露目するプロダクトは、最新技術が注目されますが、ミルミにはあえてAIを搭載していません。それでも大きな話題になった様子を見て、世の中がAIなどの最新技術に少し疲れているのかなと。加えて、“かわいらしい”ものがこれほど受け入れられるようになったのだなとも感じました」(金川氏)
その後、約1年をかけてサイズを小さくしたり、バッグに付けて走っても落ちないよう腕の強度を高めたり、毛並みを整えたり、より生き物らしさを追求。
中でも重要視したのは「目」だ。“目が合う”という仕草がミルミにおける大事なポイントであるとして、あえてコストが高い高品質の国内製パーツを採用。黒目の位置が中心にくるようにすることで、より「目が合う」感覚が強くなるようにした。
完成後は、2025年12月に米国の「Kickstarter(キックスターター)」でクラウドファンディングを実施すると、同社で史上最高額となる7400万円(目標金額の9685%)を達成した。
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