自社の従業員の副業を容認する企業は増加傾向にあり、2025年は64.3%に達した。一方で、外部から副業人材を受け入れている企業は29.1%にとどまり、「送り出すのは認めるが、受け入れは進まない」という非対称が生じている。
背景には、副業の容認と受け入れでは企業に求められる実務負荷が異なるという構造がある。中俣氏も「副業容認は就業規則や方針の整備で進めやすいが、副業人材の受け入れには、どの業務を、どの範囲で、どのような成果物を求めるかという業務設計やマネジメント体制の整備が必要だ」と指摘する。
加えて、雇用契約で受け入れる場合は、本業先との労働時間を通算する必要があり、業務委託の場合は「労働者性」(実態は雇用なのに契約上は事業主として扱われる問題)のリスクもつきまとう。
この非対称は、人材の流れに偏りを生みかねない。調査では、副業人材を「戦略的に活用している」と回答した企業ほど、副業人材がそのまま転職してくる割合が高い傾向が確認された。体制を整えた企業に人材が集まり、「容認だけして受け入れない」企業からは人材が流出する。そうした構造が強まる可能性がある。
では、副業の容認は人材流出のリスクでしかないのか。中俣氏は「何もせずに『ただ容認するだけ』ならば、流出リスクは高まる」としつつも、「過去の分析では、副業に対する支援や働きかけを行っている企業の社員ほど就業意欲が高まり、副業先への転職意向が弱まる傾向が確認されている」と説明する。
本業先が副業社員に対して行うサポートの実施率は36.3%と、2023年の27.4%から9.0ポイント上昇した。副業を禁止するのではなく、戦略的に支援する企業が増えつつある中、問われているのは容認の「先」にある企業の姿勢だ。副業による人材流動をどう生かすか。その設計力が、採用力の差となって表れつつある。
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