マネーフォワードは3つの道のすべてに張った。確信があっての全方位というより、不確実性に対する構えに近い。山田氏は「可能性があるものは多面的に張っていく。収れんする可能性もあるが、そうならない可能性もある」と話す。どの道が主戦場になるかは、まだ誰にも見えていない。
freeeのCAIOである横路氏は、こう述べる。法的に保管が必要なデータの「箱」としてのSaaSは残るが、そのとき問われるのは「人から使いやすい」かではなく「AIからちゃんと使いやすい箱になっているか」だ。データが集まる箱の上にエージェントを置くほうが、AIにとっては仕事がしやすい。
問われるのは3点だろう。MCPは差別化要素ではなく前提条件としてそろえられているか、業務ロジックがAIエージェントの実行に耐える解像度で整理されているか、権限・承認・監査のガバナンスが業務単位で設計されているか。マネーフォワードが全方位に張ったのは、この3点を満たす場所として自社を据えるための布陣でもある。
AnthropicやOpenAIが汎用側から業務領域に踏み込むスピードと、SaaS各社が業務ロジック・データ・ガバナンスを揃えるスピード。両者のレースの行方は、2026年下期から2027年にかけての顧客導入の動きに表れるだろう。SaaSへのAI組み込みとMCP対応はSaaS各社にとって必須となる。問題は、Claude Coworkの向こうを張るAIエージェントを自前で開発するかどうかだ。そこが、各社にとって最大の賭けになりそうだ。
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