日本酒市場の縮小、どう乗り越える? クラフトサケウィークに見る活性化のヒント長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)

» 2026年05月28日 17時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

シーダに注目

 企業とレストランのコラボで特に目を引いたのは、味の素が2024年に発売しただしの新ブランド「SIIDA(シーダ)」だ。今回のイベントでは、東京・学芸大学の居酒屋「件(くだん)」とコラボ。特別メニューを提供するレストランブースを展開した。

味の素のSIIDA。通販のみで販売(筆者撮影)

 件は2004年に東京・学芸大学駅前の裏路地にオープンした、おでんと日本酒が売りの居酒屋だ。関西風の透明なだしを使ったおでんをはじめ、日本酒が進む多彩な料理を取りそろえる。蔵元との深い付き合いにより、都内でも同店でしか飲めないような幻の酒が楽しめるのが特徴だ。

 昨年もシーダと件のタッグで出店し、「だし漬け枝豆」などが好評だった。今年はメニューを一新し、だしが効いたソーセージやだしがらを混ぜ込んだえいひれなどの創作メニューで挑んだ。

SIIDAで味付けした、ソーセージとホタテ。日本酒のアテに(筆者撮影)

 シーダは通常オンラインで商品を販売している。ただ、今回はレストランとは別にブースも設け、実際にパッケージを手に取り、だしの試飲もできる物販ブースも出店した。

 シーダのだしパックは、「焚(HUN)」「燻(KUN)」「酵(KOU)」の3種類がセットになっている。「焚」はたき火を思わせる力強い風味、「燻」はスモーキーで芳醇な風味、「酵」は発酵・熟成させた本枯れ節を使った上品でまろやかな味わいが特徴だ。

居酒屋の件と味の素SIIDAがタッグを組んで出店

(筆者撮影)

 ロングセラーの「ほんだし」で知られる味の素だが、シーダではかつお節を一般的なだしパックより増量。機械では代替できない職人の手仕事の魅力を製品化した。大量生産の調味料をイメージする味の素らしからぬ、「クラフトだし」の商品だ。

 シーダという商品名は「だし」を逆から読んだもので、だしの常識を覆したいという思いが込められている。だしになじみが薄い世代に、その魅力を広げたいという味の素の姿勢は、日本酒の新たな価値を伝えようとするクラフトサケウィークの方向性とも重なる。

 なお、出店のメリットとしては、生活者のリアルな声や感想を聞くことができ、製品へのフィードバックに活かせる点が大きいという。

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