日本酒は地酒ブームや和食人気を背景に、海外での需要が伸びている一方で、国内の製造数量は最盛期だった1975年の3分の1程度にまで縮小。令和に入ってからも、清酒の製造数量は2019年の約34万キロリットルから2023年には約30万キロリットルへと減少している。
この流れを食い止め、日本酒の伝統を守り次世代へとつなげていくためには、酒蔵単体の努力だけではなく、業界や領域を越えた戦略が求められている。
その意味で、大手メーカーや腕利きの飲食店を巻き込んだクラフトサケウィークのような取り組みは、日本酒の新たな可能性を広げる場と言える。
このクラフトサケウィークを、中田氏は実業家としてゼロから育て上げてきた。イベント開催中には自身もトークセッションのホストを務め、蔵元の経営者、ミシュランシェフ、陶芸家などと対話を重ねた。そこで語られていたのは、クラフトサケなどの日本文化を、具体的な産業戦略に落とし込み、100年後にも残していくために、どうアップデートするかという視点だ。
日本酒を守ることは、昔ながらの形をそのまま残すことだけではない。酒蔵、飲食店、食品メーカー、そして異分野の専門家まで巻き込みながら、新しい価値を伝えていくことでもある。
クラフトサケウィークのような取り組みが広がっていくことは、縮小する日本酒市場を打開する一つの手がかりになりそうだ。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
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