トヨタカローラ三重に至っては、ホンダの勢力が比較的強い三重県(鈴鹿サーキット周辺にホンダの工場やホンダ系サプライヤーが集積している)にあることから、トヨタディーラーの存在をアピールする手段としてスーパーGTが有効である、という理由もあると考えられる。
実際にスーパーGT第2戦を取材していたら、周囲とは違う雰囲気やいでたちの熟年女性グループを見かけた。おそらく、このイベントに誘われなければサーキット(それもスーパーGT)には来ないだろうと思われる集団だ。
決勝スタート前のマシンやレースクイーンは、華やかな雰囲気を演出している。そして、普段こうしたイベントに来ないような人たちにも、レースの特別な空気感は伝わっているようだった。
スターティンググリッド上でレースクイーンたちと記念撮影をする来場者。こうした光景がそこかしこで見られた。参戦チームのゲストとして招かれ、こうした体験ができれば、レース好きでなくても興奮するものだ(筆者撮影)これがモータースポーツの非日常感だ。それまでモータースポーツに興味がなかった人でも、スーパーGTの華やかな舞台に触れればテンションが上がる。
そして、チームのサポーター(正式加入ではなく単なる応援であっても)になってもらえれば、そのディーラー以外でクルマを買おうとは思わなくなるのではないだろうか。他のディーラーでの購入はあり得ないという状況になれば、これ以上ない強みになる。
もちろん、そうした関係性を構築するにはかなりのコストとマンパワーが必要だが、それを許容できなければ差別化は難しいという段階まで来ている。
特にトヨタは、以前は4チャンネルの販売ブランドでそれぞれ専売車種が振り分けられていたが、2020年5月から全店で全車種を扱っている。そのため、トヨタディーラーが地元のユーザーから選ばれ続けるためには、こうした施策が重要になっている。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://effectcars.com)、クラシックミニ専門サイト(https://classicmini.jp)を主宰するほか、ベストカーWeb、Yahoo!ニュース、ITmedia ビジネスオンラインなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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