まず、同一商圏内に店舗が集中するので、バイトの確保が難しくなり、現場が疲弊するようになった。そして、地方では人口減少が進み、商圏内の住民も減るため店舗間のカニバリゼーションも発生する。このような問題が指摘されても、経営の根幹ということでドミナント戦略を「死守」してきたのである。ドミナント戦略を否定することは、セブン&アイ(セブンが中核)の「中興の祖」で、流通のカリスマ・鈴木敏文氏を否定することにもなるからだ。
歴史のある大企業にお勤めの方はよく分かるだろうが、創業者などカリスマが唱えた理念、成長のビジネスモデルなどは、それがどんなに時代錯誤なものでも否定することは許されない。カリスマの薫陶を受けた経営陣などがまだ多くいる場合などはなおさらだ。
だからこそ、セブン経営陣は勇気をもって「ドミナント戦略」を否定しなくてはいけない。ドラッグストアや小型スーパーにシェアを奪われたことを、きっかけにビジネスモデルの転換を図るのだ。
もしスムージーが大ヒットして10代の顧客が増えたとしても、ドミナント戦略を続けていく限りは苦境に追いやられる。
近年、コンビニ利用が増えている50代は2024年10月1日時点で1700万人、20代は1278万人となっている。しかし、10歳から19歳は約1108万人と大きく減少している。これから生まれる子どもはもっと少ない。2025年の新生児は約67万で過去最小だ。ロボットやAIがいくら進化したところで「消費者」が激減していく日本では、ドミナント戦略をやればやるほど苦しくなる。
今は積極出店を続けるドラッグストアも小型スーパーもコンビニも、10年、20年後には不採算店舗が増加する可能性が高い。
そうなると、コンビニは「数」で地域のシェアを取るのではなく、1つ1つの店舗の機能を高める「質」でシェアを取らざるを得ない。例えば、地域コミュニティーの交流の場を提供したり、困り事を解決したりというスポットとして認識されたりすることで、客足を増やしていくのである。
ドミナント戦略で天下をとったセブンが、新しいプレーヤーのドミナント戦略によって引導を渡されるのは、理不尽だと感じる人もいるかもしれない。しかし、経済はそういう新陳代謝によって活性化していく。厳しい競争こそがイノベーションを引き起こす。
コンビニキラーたちの猛攻によって、追い詰められたセブンがどんな進化をするのか注目したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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