では、いったん売られたSaaSが、買い直されるには何が必要なのか。Snowflakeがその実例になった。
同社株は年初から4月にかけて大きく崩れ、一時、高値から半値近くまで沈んでいた。市場が一度は「AIに食われる側」と値付けしたと言える。
ところが、同社が5月27日に発表した2027年度第1四半期決算(2026年4月30日終了)が、その値付けを覆した。製品売上の伸びが、前四半期の前年比30%増から34%増へ再加速。あわせて今後5年でAWSのコンピュートとAIインフラに60億ドルを投じる提携拡大と、AIエージェントを企業内システムへ安全につなぐMCP基盤・Natomaの買収契約を発表した。株価は時間外取引で3割超急騰した。
これは低成長のSaaSが成長を取り戻した、という単純な話ではないように見える。Snowflakeはこのとき、売られるSaaSの側から買われるAIの側へと、投資家の頭の中で住所を変えたのではないか。AIによる消費の伸びと、エージェントが動くためのデータ基盤。同社を測る物差しが、SaaSのバリュエーションから、AIエコシステムの一員のそれへと掛け替えられたと言える。
つまり、動いたのは業績そのものよりも、どの棚に置かれるかという市場の見立てである。相場はいま「SaaS」という単語そのものを低成長のタグとして扱い、生き残りをAIの棚へ仕分け直している。
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