国の制度にも構造的欠陥がある。国は育休取得率の目標設定や取得状況の公表義務化など企業への要請を強める一方、履行コストへの支援は事後的な助成金にとどまるうえに、その予算規模(令和8年度当初予算で277.7億円)は限定的だ。
支給上限の140万円で単純計算すると年間約2万人分となり、育児休業給付の初回受給者数(令和5年度で年間約53万人)と比べれば、助成が届くのは育休が発生する職場のごく一部である。義務は先行し、支援は後追いかつ部分的という非対称性があり、その調整は事実上、企業に委ねられている。
企業は育休取得する人への配慮と同様に、「残る人」への配慮とサポートが求められるだろう。代替要員のみならず、組織や個々人の業務の見直し、育休取得者の業務を補った社員への、相応の手当や評価といった対応も考えられる。
今回の事案をただのSNSの炎上と見てはいけない。炎上の根本原因を構造から読み解き、その原因の中から組織を振り返る契機とすべきだ。果たして、自社組織の育休制度は取得する人だけでなく「残る人」も守れているのか。これらの問題を真正面から受け止めて行動に移すことこそ、育休制度を真に確立するための、本質的な組織マネジメントの仕事でもある。
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
宮古島“観光バブル”の代償──倍増した家賃、住めなくなる地元民……変わりゆく現実Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング