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「日本人が海外へ行けない」を打ち破る シンガポール発LCCが仕掛ける“逆張り戦略”(2/2 ページ)

» 2026年08月05日 07時00分 公開
[シカマアキITmedia]
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小型機で東南アジアの小都市へ 130都市以上にリーチできる強み

――LCCは10年前から増えています。他社との差別化をどう考えていますか?

 80以上の就航都市まで増えた就航路線の「ネットワーク」に強みがあります。欧州線でウィーンとアテネ、豪州線でシドニー、メルボルン、パースがあります。さらにインドネシアだと17、マレーシアだと12の都市に就航しています。

photo スクートが2024年5月から運用するエンブラエルE190-E2。東南アジアの小都市まで就航拡大している

 LCCはそもそも「ポイントtoポイント」つまり直行便が基本です。われわれの戦略は、シンガポール・チャンギ空港を拠点とし、日本からシンガポール、その後、シンガポール航空のネットワークまで含めると130都市以上にリーチできるのが強みと言えます。

 例えばシンガポール航空で航空券を予約した際、チャンギ乗り継ぎでスクートの便も多く出てきます。シンガポール航空が就航しておらず、スクートが就航して補完しているためです。例えばタイのクラビ、サムイ、チェンマイなどへの便はスクートのみ運航です。

 さらに、所有機材の構成も強みの1つです。近年、新たに「エンブラエルE190-E2」という小型機を導入しました。既存のボーイング787(B787)、エアバスA320ファミリーとの組み合わせで、長距離と短距離のバランスが取れています。

 東南アジアのローカル都市やリゾート地には、大型のB787はもちろん、エアバスA320でも座席数が多すぎる地域があります。さらに、滑走路が短いために大型機・中型機では物理的に就航できない空港も少なくありません。そうした制約を打ち破ったのが、小型のエンブラエル機です。日本から羽田・成田などのB787便でチャンギへ飛び、そこから東南アジアの小都市へ細かく乗り継ぐルートが新たに開けました。

――最近「燃油」が上がっていることに関しては、どうお考えでしょうか。

 スクートはもともと「燃油込み運賃」です。ただ「燃油サーチャージが上がる」とよく報道された5月の前は、当社の予約がかなり増えました。

photo タイの人気リゾート、サムイ島の空港。バンコクエアウェイズのほかは、スクートのみが定期便を運航する

LCCの強みを生かす

――また、大手航空会社などのFSCが近年「LCC化している」といわれています。あるFSCで、最安運賃で事前座席指定ができないことも話題になりました。

 LCCもFSCも、燃油高など会社として同じ問題を抱えている一方、当社は市場がLCC化しているとは捉えていません。

 お客さまの旅行スタイルや航空券に求めるニーズは、かつてないほど多様化しています。ビジネスやレジャーはもちろん、ファミリー層から団体旅行までさまざまです。そうした個別のニーズに対してどのような形で応え、選ばれる航空会社であり続けられるか。それこそが、私たちが常に追求していかなければならないテーマだと考えています。

 サービス提供の考え方ですね。例えば「純粋に航空券(座席)だけを購入する」ことができ、食事や機内Wi-Fi、預け荷物、座席指定といったサービスは、必要なものだけ後から買い足していく。それがLCCの強みです。

 FSCの場合、最初から全てのサービスが「パッケージ」になっています。そのため「深夜便で寝るだけだから食事を省いて5000円安くしてほしい」といった要望には応えられません。一方、当社であれば本当に必要な「座席」だけを購入できます。いわば、自分好みに組み合わせられる「アラカルトメニュー」のようなシステムなのです。

photo シンガポール・チャンギ空港にある大型商業施設「チャンギ・ジュエル」

「パスポート所有率18%」の壁 「海外旅行を再び身近にする」使命

――日本人が海外に行けない状況について、御社の展望を教えてください。

 海外に行けないことはなく、実際に今も多くの方々が旅行しています。ただ、日本人のパスポート所有率は18%で、今すぐ海外に行ける方がそれほどいないのは確かです。

 日本のパスポートは、ビザなしで行ける国が世界で2番目に多く、やはりもっと気軽に海外へ行ける環境になることが大事です。そのためにスクートのサービス向上や、デジタル化をいかにして進めていくかが課題です。

 今後も「海外旅行が近くなる」環境を生み出せたらと考えています。そのためにサービスやプロダクトを継続的に確認していきます。3年後には、今よりもっと多くの方々に、当社の機材でいろいろな場所へ行っていただけるようにしたいと考えています。

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