フードデリバリー撤退クロニクル 市場拡大でも8社が退場、なぜ? 「Uber Eats一強」の後に残るもの古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)

» 2026年08月31日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]
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出前館、8期連続の赤字見通し 配達報酬など売上原価率99%超

 出口の見えない競争合戦の最中、出前館の決算が揺らいだ。

 同社は7月15日、2026年8月期の通期見通しを下方修正し、売上高392億円、営業損失79億円、最終赤字78億円とした。当初の最終赤字40億円から、ほぼ倍増である。最終赤字は8期連続となる見込みだ。

 内訳がより深刻だった。第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月)で売上高282.9億円に対し、売上原価が281.5億円で、原価率は99.5%にも達する。

 出前館は配達員への報酬を売上原価に計上しているが、広告費やプラットフォームの運営費といった販管費は別途かかる。「店頭と同価格・送料無料」を重ねれば、マーケティング的な販管費が赤字を深掘りするという構造だ。

 会社側は下方修正の理由を「物価高による消費者の選別志向の高まりでオーダー数が想定を下回った」と説明しているが、粗利率の崩れ方を見ると、値下げとマーケティング競争の帰結として読むのが自然ではないか。

 一方、Uber Eats Japanの発表によれば、同社は2023〜2025年で3年連続の黒字を確保し、2026年1月には過去最高の売上を記録しているという。加盟店は全国12万店、配達パートナーは10万人を数える。配車事業と配達網を共用できるため、この規模を持つ同社だからこそ、値下げに耐えられた。

 耐えられる者と、耐えられない者。同じ施策が、事業者の体力差をそのまま結果に変えた。

「Uber一強」後に、飲食店を待つもの

 ここから先が本題である。この決戦がUber Eatsの勝利で終わったとき、加盟店にとって何が起こるのか。

 まず現状を確認したい。Uber Eatsの加盟店手数料は、Uber配達で35%、店舗が自ら配達するセルフ配達で15%、お持ち帰りで12%(いずれも税別)となっている。

photo Uber Eatsの勝利で終わったとき、加盟店にとって何が起こるのか(写真:ゲッティイメージズ)

 問題は、競争が終わった後だ。

 飲食店にとってデリバリーサービスは、複数のアプリに載せることでリスクと集客先を分散できる仕組みだった。1社の条件が悪化すれば、他社に比重を移すことができる。

 デリバリーサービス価格の値上げ負担は、消費者側が支払う送料ではなく、加盟店手数料に来る可能性が高い。消費者の目に見えないところで進むため、批判も起きにくいだろう。

 体力のある飲食チェーンは、自社でのデリバリー網を構築したり、モバイルオーダーで通勤・帰宅のついでに食品を受け取れるような仕組みを整備したりするなど、フードデリバリープラットフォームに依存しない自社の販売チャネルを重視する動きも出てきている。フードデリバリー業者の顧客であるはずの飲食チェーンが、競合になることすらあるのだ。

 いずれにせよ、歴史的にシェイクアウト競争の終着点は寡占・独占であった。フードデリバリーが最後の1社になるまで競争するのか。はたまた今の三つどもえが寡占構造として緩やかに維持されるのか誰も分からない。

 最終的に、楽天やぐるなびのように、コツコツと堅実に黒字を出していても隣で始まった特需と過剰参入に採算を壊され撤退を余儀なくされることもある。市場が特需に沸くときこそ、襟を正すべきなのかもしれない。

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