NVIDIAですら1社では半導体は作れない――それでもAI時代の“勝者”になれたワケ:『図解で深掘る きちんとわかる 半導体』(2/2 ページ)

» 2026年09月29日 07時00分 公開
[ずーぼ,ITmedia]
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NEC、富士通、日立 日本メーカーが“衰退”した理由

 半導体産業の歴史を振り返ると、もともと1社が全工程を担う垂直統合型の「IDM」が業界の標準的な姿でした。

 特にロジック半導体(CPUやGPUなど)の分野においては、米Intelのような巨大企業が自社工場で全ての工程をコントロールすることが、品質と安定供給を担保する最良の選択肢と考えられていたのです。

 しかし、技術の高度化と微細化が進むにつれ、その構造は徐々に維持困難なものへと変貌していきました。特定の企業が、設計における知的な探求と、製造における設備投資の両方を担い続けるには、リスクが巨大化したからです。

 この状況を打破したのが、1980年代後半に台湾で産声を上げたTSMCによる製造特化であるファウンドリというビジネスモデルの提唱でした。これにより、産業のルールは少しずつ書き換えられました。自前の工場を持たないファブレスという、設計の領域に経営資源を集中させた新たなプレイヤーが続々と誕生したのです。

 これが現代に続く国際水平分業の始まりであり、半導体産業を単なる製造業から、世界中の専門技術が連結する巨大なネットワークへと進化させる契機となりました。

 NECや東芝、日立製作所といった日本の大手電機メーカーも1980年代ごろはIDMとして世界のトップ争いをしていました。しかし、水平分業化の波に乗ることができず、衰退し、撤退や再編の波に飲まれてしまいました。

 日本企業の存在感が薄くなった原因は垂直統合型から水平分業型への変化だけではありませんが、要因の一つになったことは間違いないでしょう。

イノベーションが生まれる「仕組み」

 この分業体制への移行が進んだ背景には、技術の進化とともに各工程が非常に専門化したという事情があります。1社で全てを完璧にこなそうとすれば、投資リスクに耐えきれないだけでなく、進化のスピードそのものが停滞してしまいます。

 現在の半導体産業の急速な成長を支えているのは、各国のトッププレイヤーが設計や前工程、後工程、装置や材料といったそれぞれの得意分野に特化し、互いの強みを組み合わせることで、1社では到達できない次元のイノベーションを成し遂げているからに他ありません。

photo IDMの時代から水平分業時代への変遷(出所:『図解で深掘る きちんとわかる 半導体』)

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著者:ずーぼ

 半導体プロセスエンジニア。現在は半導体工場で働きながら、半導体業界の情報をブログ、YouTubeで発信する。YouTube「半導体業界ドットコムch」は登録者数2万人を超える。


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